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「どこが先に潰れるか」 苦悩する蔓延防止延長要請の大阪・ミナミのバー

 新型コロナウイルスの感染再拡大が懸念されるとして、大阪府は政府に対し、蔓(まん)延(えん)防止等重点措置の期限延長を申請した。コロナ禍で大阪では重点措置と緊急事態宣言が繰り返され、とりわけ酒類を提供する飲食店には長きにわたって負担がのしかかる。「どこが先に潰れるか」。大阪・ミナミの飲食店オーナーは頭を抱える。

 7日午後7時すぎ。若者が行き交うアメリカ村の「三角公園」に近いバー「SubculBar『なぅ!!』」(大阪市中央区)。サブカルチャーを特徴とした店内は男性客らがアニメの話で盛り上がっていたが、午後8時近くになり、女性スタッフが「今日はここまでです」。男性らは少し物足りなさそうに店を後にした。

 店内のカウンターはアクリル板で仕切り、席数は平時の半数以下にしている。もともと午前0時までの営業だが、大阪府の要請に従い午後8時に店を閉めている。「いつ常連客が離れてもおかしくない」。オーナーの加藤輝昭さん(40)はため息をつく。

 4年前、アニメやゲーム好きの「オタク」の若者らが集う場にしたいとオープン。加藤さん自身も根っからのアニメ好きで、DJやコンサルタント業などで資金をため、ようやく構えた念願の店だ。開店後は集客も順調で、ライブスペースを新たに設置する改修工事も決まっていた。

 しかし、コロナ禍で売り上げは3分の1以下に激減。ミナミなどで飲食店の営業時間の短縮が要請された昨年11月以降は、通常営業できない時期が続き、赤字すれすれの状態に。頼みの綱は時短営業に応じて支払われる協力金だったが、支給が遅れ、申請から5カ月後にようやく受け取ったという。「深夜も店を開けたら、その分お金は入ってくる。だが、それでも行政の要請に従おうと真面目に営業してきた。それなのに協力金が遅いとなると、生き残れない」

 大阪府の吉村洋文知事は重点措置が11日以降も延長された場合、対象地域の飲食店で酒類を提供する条件について「原則1グループ2人以下を4人以下にする」といった一部緩和を行う考えを明らかにした。ただ、営業時間は引き続き午後8時までの短縮を余儀なくされそうだ。

 加藤さんは「どこの飲食店もしんどい。ただ、ミナミの街はどこの店が先に潰れるのかのレースのようだ」と肩を落とした。

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