開幕が迫る東京五輪について、政府や東京都、大会組織委員会などは8日、東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県の競技会場を無観客とすることを決めた。政府が同日、東京都に新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言の再発令と、3県の蔓延(まんえん)防止等重点措置延長を決定したことを受け、感染拡大を抑えるための措置。開会式を約2週間後に控えるスポーツの祭典は、厳しい選択を余儀なくされた。
国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)の代表者を交えた5者協議、続く関係自治体等連絡協議会で決定した。組織委の橋本聖子会長は会見で「残念ではあるが、無観客とした方が多くの方に開催に向けたご理解をいただけるのではないか」と述べた。
宮城、福島、静岡の3県は現行の「定員の50%以内で最大1万人」を維持するほか、茨城県は「学校連携観戦プログラム」による感染のみ受け入れる方針。北海道は調整を続ける。橋本氏は、マラソンなど公道を利用する競技について沿道での観戦自粛を求める意向も改めて示した。
政府などは3月に海外からの観客受け入れを断念。6月の5者協議では、都などに出ていた重点措置の解除を前提に、観客数の上限を最大1万人とすることで合意した。同時に、感染状況が極度に悪化した場合は「無観客を含めた対応を基本とする」としていた。
しかし、その後も都内を中心に新規感染者の増加傾向は続き、今月7日に政府が都への宣言再発令の方針を固めると、無観客開催の観測が一気に広がった。政府方針は宣言下でも「上限5千人」としているが、菅義偉首相は1日に「緊急事態宣言の時は無観客もあり得る」と述べていた。
武藤敏郎事務総長は無観客の会場でもIOC委員や国際競技連盟幹部ら大会関係者の入場は可能だと説明した。今回の決定で900億円を見込んでいたチケット収入の減収幅については「精査中」とした。
16日までに方針を決めるとしていたパラリンピックの観客については、8月8日の五輪閉幕後に先送りされることになった。
輪閉幕後に先送りされることとなった。