金融

船舶大型化が招く事故リスク 海上保険料15%アップも

 貨物船が座礁事故などを起こしたときのために加入する海上保険の保険料が上昇傾向にある。業界関係者によると、保険料の水準は今年1月に15~20%も上昇。過去10年程度でみても同様の流れが続いている。背景には多発する事故や、海運業界が運送効率向上のために進めてきた船舶の大型化に伴う事故被害額の高額化がある。3月にエジプト・スエズ運河で座礁事故を起こしたコンテナ船も最大クラスの大きさだった。船舶の大型化は悪天候の影響を受けやすくなるという欠点もあり、規制の必要性も指摘されている。

 「世界で大型船の全損や座礁、火災事故が相次いでおり、保険料率が引き上がる要因になっている」

 大手損害保険会社の担当者は、そう説明する。

 保険料率は保険金額に対する保険料の比率を示す値。水準は契約ごとにさまざまだが、ある保険代理店の担当者は「例えば貨物保険でいえば積む貨物の価格に対して0・3~0・5%をめどに保険料の交渉が始まることが多い」と話す。

 業界関係者によると、今年1月の契約更改期、保険料率の世界的な水準が従来より15~20%も上昇した。ここ2、3年は保険料率が上がっており、10年程度でみても、やはり上昇傾向が続いているという。

 保険会社がリスク分散のために加入する「再保険」を引き受けている英ロイズ保険組合の市場でも、昨年1年間で保険料率が1割上昇した。このことが各保険会社が顧客に求める保険料率のアップにつながっている。

 背景にあるのは船舶の大型化だ。世界のコンテナ船の大きさを20フィートコンテナを1単位(TEU)とした積載個数で見ると、最大クラスの船舶は2000年前後は7060TEUだったが、昨年5月段階では3倍を超える2万4千TEUとなった。スエズ運河で事故を起こしたコンテナ船も同クラスで、全長は東京タワー(333メートル)を超える400メートルにも及ぶ。ひとたび事故を起こせば被害は極めて大きくなる。

 船舶の大型化は運搬量を増やして費用対効果を上げようとする海運会社の戦略の表れでもあるが、リスクの高さが表面化している形だ。海運に詳しい福知山公立大の篠原正人特命教授は「荷が高くなれば風の影響を受けやすくなるなど、巨大船は運河の通行はもとより、港に入るにも危険が増す。安全輸送よりも商売優先になっており、何らかの規制が必要だ」と指摘している。(福田涼太郎)

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