金融

途上国の債務問題 中国の透明性になお課題

 20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、新型コロナウイルス対応で膨らんだ債務に苦しむ途上国の支援が議題となった。コロナ禍で多くの途上国は経済が低迷し、迅速な支援が喫緊の課題だ。先進7カ国(G7)や国際通貨基金(IMF)は新興国も巻き込み途上国支援を拡大したい考えだが、中国の不透明な融資姿勢が課題として立ちふさがっている。

 G20では、債務の支払い猶予を求めるアフリカのチャドとエチオピアへの対応を議論。コロナ禍で債務危機に陥ったのは昨年11月に債務不履行(デフォルト)したザンビアを含めまだ3カ国だが、他の途上国も同様の問題がくすぶり、世界経済の波乱要因になる恐れがある。回復が進む先進国と途上国の格差は拡大しており、3カ国の債務減免は是正に向けた第一歩だ。

 途上国支援では、IMFが6月、加盟国の外貨不足に備え米ドルなどと交換できる特別引き出し権(SDR)を総額約6500億ドル(約71兆5000億円)拡充して、新規配分する方針を示した。G7も各国のSDRを総額1000億ドル分、途上国支援に融通する。ただ、支援に実効性を持たせるには途上国が背負う債務の状況を正確に把握する必要があり、G20では資金の透明性確保に向け議論を進めた。

 取り組みの背景には、最大の貸し手である中国が巨大経済圏構想「一帯一路」のインフラ投資で途上国に多額の借金を負わせ、影響力を強める「債務のわな」の問題がある。中国は融資の実行部隊である政府系金融機関「国家開発銀行」を民間銀行だと主張して債務減免の対象外にしようと画策し、情報開示にも後ろ向き。途上国には優先的返済を強要しているとされる。

 先進国は救済策が実行に移される前に、資金が途上国を経由して中国に還流する構図にメスを入れる必要がある。IMFはSDR拡充を8月末までに正式決定する考えで、ゲオルギエバ専務理事は今月7日の声明で「新しい『共通枠組み』を完全に運用可能とする必要がある」と訴えた。残された時間が少ない中、実効性のある枠組みの構築に向け詰めの作業が急がれる。(永田岳彦)

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