金融

「アジアへの動きを加速」 九州経済連合会の倉富新会長に聞く

 6月に九州経済連合会の第9代会長に就任した倉富純男氏(67)=西日本鉄道会長=が産経新聞の取材に応じ、「アジアに向かって動いていく流れを加速したい」と、九州の農産物輸出に加え、挑戦する人や技術のアジアへの進出を後押しする考えを示した。新型コロナウイルスで打撃を受けた観光については、国内旅行は年内にも回復するとの見通しを示し、人の移動をサポートし、観光地の活性化につなげたいとの意欲を語った。(4回目の緊急事態宣言前のインタビューです)

 九電を支える

 6月7日の就任から1カ月。九州各地を回れるだけ回った。九州の将来ビジョンをまとめた九経連事務局スタッフの思いも聞いた。共通する思いは、九州を元気にすること。「九州は一つ」と改めて思った。

 目下の課題はコロナからのV字回復だ。九州は観光が強かった面だけ痛みが大きい。観光回復には、萎縮した気持ちから開放的な気持ちへの転換が必要だ。ワクチンが普及し、集団免疫を獲得したら、動いていい、動くべきという流れを作っていく。そのためには移動しても大丈夫だと、科学的に安全性を示すことが必要であり、会員企業のノウハウを結集し、情報を発信したい。観光回復は、年内に国内、来年には海外が動き出すだろう。今が最後の苦しみだ。

 麻生泰前会長からは「倉富流でやってくれ」といわれた。(西鉄の)交通事業者としての視点を入れ、視界が広がる部分もあると思う。住宅や倉庫、ホテル、物流事業で海外をみてきた。駐在員もいる。九経連の取り組みに伴走できるようサポート体制を整え、麻生氏が海外で築いたネットワークを毛細血管のように広げたい。駐在員はみんなやる気満々だ。

 はいつくばって頑張ってきた西鉄のノウハウを生かし、(従来、財界を支えてきた)九州電力だけに頼らず、九電を支えるという気持ちを、これまで以上に発揮していく。

 中国の博覧会に出展

 九州はアジアの中心であるべきであり、東京ではなく、アジアに向かう意識で布石を打ち始めることが必要だ。

 昔から九州は、大陸から人を受け入れ、文化交流をしてきた。アジア各国と技術連携ができれば、新しい事業を起こせる。挑戦する人材が海外で活躍できる素地があり、技術と人の輸出や輸入ができれば国際的企業が育つ。ロールモデルをつくり、取り組みを後押ししたい。

 農産物などの輸出にからんでは、来年、上海で開かれる大型見本市「中国国際輸入博覧会」に九州でまとまって出展したい。各県が一緒に出展するのは日本初の取り組みになる。

 九経連は、九州からの1次産品・食品の年間輸出額を1800億円に伸ばす目標を掲げている。輸出に関する規制緩和や、量の確保に向け、九州が一緒になって農産品を集約する仕組みも必要だ。

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の九州への誘致も実現したい。西九州の元気につながり、九州を回ってもらうきっかけになる。(誘致を目指す)長崎県佐世保市には、大型リゾート施設「ハウステンボス」というインフラが整備され、九州新幹線長崎ルートの開業で交通ネットワークもできる。インバウンド(訪日外国人客)の受け入れは、長崎、福岡両空港が軸になるが、福岡という都心のバックグラウンドがあることも大きい。

 底の今がチャンス

 九経連は今年、発足から60年を迎えた。財界、各県がまとまって一緒に取り組める地域は九州以外にないと思う。先人の偉業を生かしたい。

 今、私が置かれた立場はチャンスだと思っている。コロナで「底」であり、これ以下はない。「九州に閉じ籠(こ)もってはだめだ」「アジアの中の九州を目指すべきだ」と捉えられる環境にもある。成長のチャンスに恵まれており、チャンスをつかみにいく動きを加速したい。そのために、とにかく汗をかき、動き回る。(一居真由子、中村雅和)

 【プロフィル】倉富純男(くらとみ・すみお) 昭和28年8月、福岡県うきは市生まれ。53年、青山学院大卒業後、西日本鉄道に入社。ビル事業部開発課長、商業レジャー事業部長、常務執行役員経営企画本部長などを経て平成25年から社長を務め、令和3年4月から会長。

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