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「感染が怖いので、これを機に引退」 米、コロナが早める定年退職

 【ポトマック通信】新型コロナウイルス禍を機に、「定年退職」を早める米国人が増えている。調査会社オックスフォード・エコノミクスや米紙によると、コロナ流行後の1年余りで約250万人が定年退職し、コロナ禍前の2019年の2倍に達した。

 米国で法律上の定年はないが、年金が満額もらえる66歳が目安とされる。定年前に仕事を辞めるのは、コロナ不況で解雇された労働者が、希望する仕事を得られず復職を諦めたり、貯蓄や年金を頼りに余暇を楽しむ人生を選んだりと、理由はさまざまなようだ。

 子供が通う小学校でも、コロナ禍で対面授業を休止した際に、退職を決めた教員がいた。健康に不安を抱え、「感染が怖いので、これを機に引退することにした」と説明したそうで、その後、再開した授業の人繰りに支障が出たようだ。

 一方、経済活動が再開するのにともない、全米で労働者不足が深刻になっている。先日、取材に訪れた中西部イリノイ州では「飲食店の給仕係で、時給を倍にしても働き手が集まらない」との声を聞いた。

 もともと戦後生まれのベビーブーマーが退職期に差しかかっていたが、定年を前倒しする人が増え続ければ、労働者不足に拍車をかけると指摘されている。豊富な労働力を強みとした米国経済が転機を迎えるのだろうか。(塩原永久)

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