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宮城県、仙台の時短再要請で五輪「直行直帰」後押し

 東京五輪のサッカー会場で上限1万人の観客を迎え入れる宮城県は16日、繁華街を抱える仙台市内の酒類提供や接待を伴う飲食店に対し、競技が始まる21日から営業時間の短縮を再要請することを決めた。県内でも新型コロナウイルスの感染再拡大の傾向がみられ、五輪による人流増加が懸念される中、観客に促している「直行直帰」を後押しする。感染抑制策の強化で、無観客開催を訴える仙台市側にも理解を求める。

 「40~50代の感染が拡大し、かつ感染の広まりが早いと判断した」。16日の新型コロナ感染症対策本部会議に出張先の東京都内からリモート参加した村井嘉浩知事は、6月13日に終えたばかりの時短要請を再度行う理由をこう説明した。

 具体的には今月21日から8月16日までの間、仙台市全域で酒類提供は午後8時まで、店の営業は同9時までとすることを求める。ただ、感染対策を徹底していると県が独自認証した店は対象外とした。

 県内では今月21~31日のうち6日間、仙台市に隣接する利府町の「キューアンドエースタジアムみやぎ」で男女サッカー計10試合が行われる。県によると、チケット販売枚数は計約4万5000人分で、28日と31日の2日間は観客上限の約1万人の来場が見込まれる。

 村井知事は12日、チケット保有者の大半を東北圏が占め、首都圏からの観客は1日最大1000人程度にとどまるとしてコロナ禍での安全性を強調。プロ野球やJリーグなど1万人規模のスポーツイベントが安全に開催されてきたことも観客受け入れの根拠に挙げた。

 これに対し、地元医師会などは県に無観客を要望。仙台市の郡和子市長も13日に「多くの人が仙台市を経由して移動、滞在する」として、村井知事に無観客への再考を促していた。郡市長は16日、今回の時短要請の範囲について、有観客に伴う人流拡大を懸念し、市全域とするよう県に求めたことを明らかにした。

 県側にも感染再拡大への危機感がないわけではない。今月に入り、県内の新規感染者数が増加に転じ、14日に41人、15日には45人と5月中旬ごろの水準に戻っている。感染者全体の6~7割を仙台市が占める状況で、入院患者の病床使用率も悪化傾向にある。

 県内では2月以降に感染者が急増し、3月31日に過去最多の200人を記録したトラウマがある。東日本大震災の発生10年となった3月11日前後に関係者の往来が増大したことが感染拡大に拍車をかけたとの見方もある。県関係者は「人が集まると感染リスクが高まることは痛感している」と打ち明ける。

 さらなる不安材料は、競技終了予定時間が午後8~10時と夜間に及ぶことだ。県側は自家用車での来場を禁止し、最寄りの利府駅や仙台駅などを往復するシャトルバスを運行。各駅に都市ボランティアらを置き、宿泊先などとの「直行直帰」の呼びかけに力を入れる。

 それでも村井知事が有観客を表明した9日以降、県には苦情や抗議の電話が約2千件寄せられている。利府町にも無観客実施を求める電話が多数入り、海外メディアらが訪れることを心配する声も多いという。

 村井知事は16日の会議後の会見で、有観客を堅持する意向を強調。プロ野球などの事例を改めて示し、「主催者が無観客にしない限り、五輪だけを特別にすることはできない」と述べた。

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