金融

「気候変動対策」世界の中銀が動く 欧州先行、米は慎重姿勢

 日本銀行が16日、気候変動に対応した金融機関の投融資を促進する資金供給策を発表し、これまで物価や金融システムの安定に努めてきた金融政策の“守備範囲”を拡大する動きが国際的に広がってきた。深刻化する異常気象が金融や経済に悪影響を及ぼす懸念は世界共通。ただ、中央銀行が特定分野に肩入れする是非や脱炭素効果の検証など課題もあり、取り組みは国・地域ごとに温度差がある。

 欧州中央銀行(ECB)理事会は今月8日発表した金融政策の新たな戦略で、気候変動に対する「配慮」を金融政策の枠組みに盛り込むことを表明。声明では「気候変動への取り組みは世界的な課題であり政策の優先事項」と強調し、今後は量的金融緩和で実施する社債の買い入れなどで、気候変動リスクを考慮する。

 英国のイングランド銀行(BOE)も5月、社債を買い入れる企業に気候変動関連の情報開示を強化するよう求め、買い入れ条件として温室効果ガスの削減計画の公表などを設定することを発表した。

 一方、米連邦準備制度理事会(FRB)は気候変動リスクの調査に乗り出しているが、パウエル議長は6月、「気候変動は金融政策を決める際に直接考慮するものではない」と慎重な姿勢をみせた。この課題には中銀ではなく政府や議会が取り組むべきだとの考えだ。

 温度差があるとはいえ、主要国の中銀は今年に入り気候変動リスクへの対応を相次いで強化している。米国が政権交代に伴い国際的な気候変動対策を主導する姿勢に転じ、2050年脱炭素化が国際的な潮流になったことが背景にある。日銀が発表した新たな資金供給策も、こうした流れに乗り遅れないための措置だ。

 ただ、市場に強い影響力を持つ中銀が特定分野に介入すれば、資金の流れがゆがみ市場の安定を乱す可能性も一部で指摘される。日銀審議委員を務めた野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「世の中の求めに応じて多くの使命を安請け合いすると、それぞれの使命の間に不整合が高まり、結局どれも達成できない」と指摘し、慎重な対応を求める。(高久清史)

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