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EC決済の「10兆円ベンチャー」の名前を、ほとんどの日本人が答えられないワケ (1/2ページ)

 米国で急成長しているEC決済のベンチャー企業がある。その名は「ストライプ」だ。ベンチャー投資家の山本康正さんは「利用者側と事業者側の両方に対して、電子決済導入のハードルを一気に下げたのが画期的だ」という--。

 ※本稿は、山本康正『銀行を淘汰する破壊的企業』(SB新書)の一部を再編集したものです。

 ■中小企業をターゲットにシェアを広げたペイパル

 ペイパルは電子決済を手がけているベンチャーです。創業者の一人は、スペースXやテスラを経営する実業家、イーロン・マスク氏です。

 ただし、彼の個人的なミッションの代名詞とも言える宇宙事業などとは異なり、ペイパルでの電子決済事業は、これから世の中に必要なサービスと見越して設立されました。具体的には、インターネットの普及によりEC事業が拡大した、それに伴い電子決済事業も伸びるはずだ。このような思惑から設立された企業です。

 そして彼の予想どおり、EC決済のプラットフォームとして、ペイパルは拡大していきます。アマゾンなどの巨大ECサイトは、独自の決済プラットフォームを持っています。

 しかし、個人事業主も含め、規模がそれほど大きくない企業が決済プラットフォームを自社で構築することはハードルが高いですから、そのような中小企業をターゲットに、シェアを広げていきました。

 プラットフォーム事業ですから、一度システムを構築すれば、あとは利用者を増やすだけのいわゆる座布団ビジネスです。そのため顧客数ならびに売り上げを着実に伸ばし続けていて、現在では電子決済プラットフォームとして、グローバルで使われています。

 昨今のコロナ禍の影響を受け、巣ごもり需要でECサイトの利用は以前にも増して伸びていますから、その利用率の増加と呼応する勢いで、以前にも増して勢いのある企業となっています。

 ■ペイパルはデジタルバンクを立ち上げるのではないか

 クレジットカード会社の決済サービスと近いですが、ペイパルの特徴であり優位点は、スタート当初からデジタルであったこと、データの収集・分析を念頭に置いたビジネスモデルであったことです。

 クレジットカード会社も昨今は決済データを溜めて活用しようと動いているようですが、最初から決済データの蓄積を実装していたことが強みとなっています。

 今後は、GAFAの動きに追従すると私は予測しています。デジタルバンクの設立です。現時点では決済の先には銀行口座があるからです。GAFAの思惑と同じく、ペイパルは特にデジタルに特化していますから、デジタルバンクを設立し、金融サービスを強化していくだろうと。

 ペイパルとしては旧態の銀行が手がけている、リアルな銀行業務をインターネット上に置いただけのネット銀行とは異なる、はるかに利便性の高いデジタルバンクを設立することで、既存の金融サービスを破壊するのではないか。私はそのように予測しています。

 デジタルバンクを自社単独で作り上げるのか、それとも買収や既存の銀行と手を組んで行うのか。このあたりの思惑はグーグルの箇所で詳しく解説したように、パワーバランスもありますから、あれこれと画策していることでしょう。

 ■兄弟で起業、30歳にしてビリオネアに

 ペイパルと同じ電子決済事業で飛躍的な成長を遂げているのが、アメリカのストライプです。日本では岡山県を本拠地にしたストライプインターナショナルというアパレルの会社がありますが、関係はありません。

 アイルランド出身のパトリック・コリソン氏は高校の頃から起業をし、地元のアイルランドの省庁からは出資を得ることができない一方で、シリコンバレーの投資家は興味を示したため、アイルランドを飛び出し、カリフォルニアに本拠地を移転。

 その後会社をカナダの会社に売却しつつ、コンピュータサイエンスをアメリカのマサチューセッツ工科大学で学んでいたところを新しく電子決済事業の「ストライプ」を起業するために中退。

 2歳下でハーバード大学で学んでいた弟のジョン・コリソン氏と共に2010年に創業しました。まだ兄が20歳の頃からの創業で、現在では兄弟ともに、まだ30歳ほどで最も若い年齢層で自力でビリオネア(1000億円以上の資産家)になった起業家です。

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