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コンクリートでCO2吸収、建設業界でも進む脱炭素

 地球温暖化につながる二酸化炭素(CO2)の排出削減が急務となる中、建設業界で環境に配慮したコンクリートの活用が広がりつつある。鹿島は東京ガスと組み、都市ガス機器の排ガスを利用して、製造時にCO2を吸収する特殊なコンクリートの本格商品化に乗り出す。大成建設は、従来のコンクリートに比べて製造過程のCO2排出量を大幅に削減できる独自コンクリートで新たな部材を開発した。脱炭素社会の実現に向けて今後、市場拡大が期待される。

 鹿島は、コンクリートの主原料で、製造時にCO2を排出するセメントの代わりに、CO2を吸収しながら固まる性質を持つ特殊な材料を使う技術を中国電力などと確立。セメントの使用量を通常の半分以下に削減し、製造時に排出するCO2を実質ゼロ以下としたコンクリート「CO2-SUICOM(シーオーツースイコム)」を平成20年に商品化し、23年から工事で活用している。

 今回、新たに東ガスと協業し、この技術でボイラーなどの都市ガス機器の排ガスに含まれるCO2を吸収してコンクリートブロックを量産し、商業施設や工場に売り込む。コンクリートブロックの製造は外部の専門業者に委託する計画で、東ガスの天野寿二ソリューション技術部長は「本格商品化に向けてコストダウンや製造工法の最適化を進めたい」と話す。

 一方、大成建設は製造過程のCO2排出量を最大80%削減できる環境配慮コンクリート「T-eConcrete(ティー・イー・コンクリート)」を使い、「セグメント」と呼ばれるトンネルの壁面などの構造部材を開発。大阪市内の下水処理場の管路施設工事で6月から採用が始まった。

 ティー・イー・コンクリートは26年に大成建設が開発。コンクリートの原料に鉄鋼の製造過程で発生する「高炉スラグ」と呼ばれる材料などを使うことで、セメントの使用量を減らしてCO2排出量を抑制した。

 今年2月には高炉スラグのほか、回収したCO2との化学反応でつくる炭酸カルシウムなどの「カーボンリサイクル材料」を併用し、セメントを全く使わず製造時のCO2排出量を実質ゼロ以下にできる技術も開発しており、ティー・イー・コンクリートの商品拡充を進めている。

 環境配慮コンクリートは、世界的な脱炭素化の潮流を追い風に、将来の市場拡大が見込まれる。シーオーツースイコムのようなCO2吸収型コンクリートの全世界での市場規模は、2030(令和12)年時点で約15兆~40兆円に達すると予想されているという。

 ただ、本格普及に向けての課題は多い。最たるものはコストの高さだ。CO2吸収型コンクリートの価格は、一般品と比べて約3倍とされ、日本の技術が市場シェアを獲得する上ではコスト低減が避けて通れない。

 脱炭素社会の実現を掲げる政府は、公共調達を通じた利用拡大を図るなどして、令和12年には一般品と同等の1キロ当たり30円を目指すとしており、7年に開かれる大阪・関西万博の会場での活用も検討し、普及を後押しする構えだ。(森田晶宏)

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