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対デルタ株、大阪「第5波」備え急ピッチ 支援強化を図る (1/2ページ)

 大阪府は、新型コロナウイルス感染「第5波」への警戒を強め、急ピッチで準備を進めている。3月以降の第4波では変異株の猛威に見舞われ「医療崩壊」を招いた。新たな感染拡大が顕著となるなか、最大の懸念は感染力が既存株の約2倍ともいわれるインド由来の変異株「デルタ株」だ。府は反省と教訓を踏まえ、病院機能の再編と病床の効率的な使用、自宅療養者らの支援強化を図っている。

 一体型病院 中等症・重症に対応

 第4波では3月20日、大阪府独自の指標が感染再拡大の警戒水準に達した。4月13日に新規感染者が千人を超え、同規模の感染者数が3週間継続。重症者も最大449人まで急増し、確保していた220床余りの重症病床だけでは、治療が追い付かない事態になった。

 「命の選択をしなければいけない局面が来るかもしれない。そうした危機感が強かった」。4月以降、重症者の治療にあたった東大阪市の市立東大阪医療センターの辻井正彦院長は厳しい表情で当時を振り返った。

 第3波まで東大阪医療センターは中等症患者を中心に受け入れ、重症者の治療は、隣接する府立中河内救命救急センターが担っていた。しかし第4波で「想定外」の状況に対応しなければならなくなった。

 60床の軽症・中等症病床を運用しながら、集中治療室(ICU)10床のうち、最大5床を重症者用に充てた。人工呼吸器などを扱える看護師を配置するため、約50床の一般病床は一時閉鎖せざるを得なかった。

 中等症を含め想定数を上回る患者に対応し、気管挿管せずに酸素投与だけで回復を待つ事例も。ピーク時は自宅や宿泊施設で重症化して運ばれてくる患者が大半で、薬で肺の炎症を抑えながら人工呼吸器で管理する「綱渡り」だった。

 府内では病床逼迫(ひっぱく)の影響で、重症化した後の転院先が見つからないことを懸念し、比較的症状が重い中等症患者の受け入れを断る病院も出た。

 こうした事態を避けるため府は第5波に備え、「中等症・重症一体型病院」を設けて新たに指定した。患者の病状変化に応じた連続的な治療が期待される。東大阪医療センターは、その一体型病院の一つ。最大12床の重症病床を確保する予定で、辻井院長は「病床が足りずに救急搬送中に亡くなるような事態は絶対に避けたい」と強調する。

 重症病床は「重症拠点病院」と合わせ、目標の500床を上回る約580床を確保したが、3千床を目指す軽症・中等症病床は現時点で約2450床と道半ばだ。

 直近の感染状況は第4波初期と似た推移をたどりつつある。デルタ株の感染力が見えないだけに「十分な病床を確保しているのか」との不安は拭えない。高齢者へのワクチン接種が進む中、府幹部は40~50代を中心に増加が見込まれる中等症患者への対応を課題に挙げ「ワクチン接種とデルタ株拡大のスピード競争になる」と語った。

 転退院支援 病床運用、効率的に

 第4波でコロナ病床が逼迫した背景には、回復後も高齢や持病などの事情を抱え、自立生活が困難な患者の入院長期化もある。大阪府は6月に「転退院サポートセンター(SC)」を新設し、回復後の効率的な病床運用のため、病院間の調整を主導している。

 府は、発症から10日(重症は20日)がたち、症状改善後72時間が経過した患者について、感染力がほぼなくなったとして転院や退院の対象としている。

 しかし第4波では軽症・中等症患者のうち、最大で全体の約2割を占める375人がこの基準を超えて15日以上の入院を続けた。当時はコロナ患者を治療する病院が個別に転院調整を行ったが、病床が埋まっていたり持病の特性を理由に受け入れを断られたりして、難航する事例が頻発した。

 府は1月に発足させた5人程度の転院支援チームを拡充し、看護師3人を含む16人体制の転退院SCを創設。6月21日以降、コロナ病院と、回復患者を受け入れる「後方支援病院」の意向を調整し、今月16日までに12人の転院につなげた。

 9日には後方支援病院の空き病床などをオンラインで管理し、情報を共有する「マッチングシステム」の運用を開始した。すでに180カ所以上の後方支援病院が登録している。

 西野誠センター長は「調整には患者の居住地や持病の特性など個別の事情を踏まえたきめ細かい対応が求められる。府が関与して円滑な転院を実現し、病院の負担を軽減したい」と話した。

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