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4度目緊急事態に五輪無観客…消えた夏の特需「補償がなければ…」

 東京都に発令された4度目となる新型コロナウイルスの緊急事態宣言(8月22日まで)が、疲弊した観光業界に追い打ちをかけている。4度目の宣言は、書き入れ時の夏休みシーズンや23日~8月8日の東京五輪を直撃。五輪は大部分の競技会場で無観客開催となることも響き、都内のホテルでは観客らのキャンセルが相次いだ。大会延期となった昨年に続き、今年も消えた「夏の特需」。耐えかねた関係者らは国に強く補償を求めている。

 「今年こそオリンピックが業績回復のきっかけになると思ったのに…」

 五輪の競技会場や施設が集中する東京・有明周辺にあるホテルの担当者は、そう漏らした。

 例年は7、8月は全約300室が満室続きだが、コロナ禍に突入した昨年は半分以下の客足に。そして期待をして臨んだ今夏。無観客開催が今月8日に決定すると、9、10の両日にそれぞれ数百件ずつの予約キャンセルの電話がかかってきたという。

 都内で十数店舗を展開するホテルチェーン代表の男性も「どこの店舗でもキャンセルが続出している」とため息をつく。訪日客(インバウンド)の利用が多かったことから、昨年2月以降は客室稼働率が3割未満の状況。五輪特需を期待していただけに、残念な気持ちは大きい。

 男性によると、観光地と違って都内のホテルはインバウンドや地方の客が中心のため、とりわけダメージが大きいという。「補償がなければ経営維持はもうできない」と語った。

 本来は五輪から恩恵を受けるはずだった「オフィシャルパートナー」も例外ではない。観戦チケット付きの公式ツアーを販売していたKNT-CTホールディングス、JTB、東武トップツアーズの旅行会社3社は無観客開催決定後、ツアーの中止と返金を発表した。直前の中止のため、宿泊先のホテルのキャンセル料を負担しなければならない恐れがあるという。

 8日に行われた日本旅行業協会(JATA)の記者会見でも、補償を求める声が相次いだ。高橋広行副会長(JTB会長)は旅行会社側に観戦ツアーのキャンセル料負担が発生した場合、「国に補償を求めていくことも考えたい」とした。

 菊間潤吾副会長(ワールド航空サービス会長)は「観光業界には補償が全くない」と語気を強めた。さらに昨夏と違って今年は政府の観光支援策「Go To トラベル」が完全に停止されているため、より厳しい状況となることが予想される。「補償とセットでなければ、これ以上は耐えられない」

 一方、国は雇用調整助成金など既存の支援策の活用を繰り返し求めている。観光庁幹部は「ホテルには営業自粛や時間短縮を求めておらず、飲食店同様に補償するのは難しい」と説明。さらに「打撃を受けている業界は他にもあり、観光業界を認めればそちらも認めなくてはならなくなる。状況が厳しいのは重々承知しているが、歯を食いしばってほしい」と語った。

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