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三菱重・川重「分散型エネルギー源」技術確立へ 再エネ普及へ実証実験

 大手機械メーカーの三菱重工業や川崎重工業が、安定的で効率的な電力システムの構築につなげようと、太陽光や風力で発電した電気をためる蓄電池など「分散型エネルギー源(DER)」と呼ばれる技術の確立に向けて動き出した。三菱重工は子会社で、蓄電池や自家発電設備などを一括制御し、電力の需給調整につなげる実証を行う。川崎重工は、自社工場で「蓄電ハイブリッドシステム」という新たなエネルギー供給技術の実証に乗り出した。DERは政府も活用を促しており、再生可能エネルギーを主力電源とする脱炭素社会を目指す中で、技術導入の拡大が見込まれる。

 DERは、再生エネや燃料電池などの発電設備▽蓄電池などの蓄エネ設備▽大規模工場や水電解装置などの需要設備-に大きく分けられる。

 従来の電力システムは、大型発電所と離れた場所にある需要地を広域の電力系統(電力ネットワーク)で結ぶ構成だが、各地に配置できる分散型の電源を柔軟に取り入れることで、多発する自然災害に対応した電力供給の強(きょう)靭(じん)化や、電力使用量の最大値を抑制する「ピークカット」につなげることができる。

 発電用エンジンなどを手掛ける三菱重工傘下の三菱重工エンジン&ターボチャージャ(相模原市中央区)は、DERを一括制御することで発電した電力を、電力の需要と供給を一致させるために必要となる「調整力」として活用する技術の実証を10月に始める。太陽光発電とエンジン発電、蓄電池を組み合わせて安定制御する発電設備をDERとして設定し、電力系統から調整力を求められたときに効率的に対応できる最適なシステムのあり方を検証する。

 足元では太陽光の発電コストが低下、DERに不可欠なデジタル制御技術も発展しており、同社は「変動性の高い太陽光などの再生エネの普及促進が見込まれる中、電力システムを安定化・効率化できるDERへの期待は高まっている」とみる。

 一方、川崎重工は5月、明石工場(兵庫県明石市)の自家発電用ガスタービン設備に、蓄電池と太陽光パネルを組み合わせたハイブリッドシステムによる調整力を、4月に開設された「需給調整市場」に提供する実証を開始。「将来的なDERの活用を見込んでいる」という。ガスタービン発電を納入している顧客への提案も含めて、2020年代半ばの実用化を目指す。

 また、関西電力もDERの活用に向けた実証を進める。蓄電池や電気自動車(EV)、家庭用燃料電池「エネファーム」などの多数の分散型電源を束ねて制御する技術の精度向上を図る。従来取り組んできた、家庭や事業所にある発電設備や蓄電池などをまとめて制御する「仮想発電所(VPP)」での成果も生かす。

 経済産業省は今月21日、国のエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」の原案を提示し、この中で再生エネの発電割合を大幅に引き上げる電源構成を打ち出すと同時に、DERについて「導入拡大は今後も進展が期待される」と指摘している。

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