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大阪IR、ライバルはアジア 1兆円投資の戦略効果どこまで

 大阪府の吉村洋文知事は21日、誘致を目指す統合型リゾート施設(IR)整備事業に関し、オリックスと米MGMリゾーツ・インターナショナルの連合が提出した事業計画の投資額が「1兆円規模」だと正式に発表した。巨額の計画が実行されれば、新型コロナウイルス収束後の大阪・関西経済の成長に弾みがつく。競争相手はシンガポールやマカオの巨大IRで、歴史、文化など大阪独自の魅力を効果的に発信し、集客へつなげるといった戦略も求められる。

 「1兆円は段階的に投じられるのではなく、開業時までの投資規模になる。われわれが想定していた世界最高水準のIRになる」

 吉村氏はそう語り、2020年代後半が予定される開業時までに、1兆円が投じられるとの考えを明かした。府市はIRの段階的整備を容認していたが、事実上、方針を転換した。大阪IRは開業段階で相当な規模の施設となる見通しだ。

 1兆円は国際会議・展示場やホテル、コンサートやスポーツイベントが開催される大型施設、カジノなどの建設費用に充てられる。他のアジアや米国の主要IRより投資規模が大きい。

 日本総合研究所の若林厚人・関西経済センター長は「(大阪市此花区にある)建設予定地の夢洲(ゆめしま)への鉄道延伸など周辺地域のインフラ整備も動き出し、雇用創出も見込める」と計画を評価する。

 連合が巨額投資の提示に踏み切った背景について、IR情報サイトを運営する小池隆由氏は「米国がコロナ禍の影響から脱しつつあり、MGMの主要市場である米ラスベガスのIR業界の業績が急回復していることが大きい」と指摘する。

 その上で、大阪IRの開業時にはコロナ禍の影響はさらに少ないと予想されるため「事業の収益性が十分見込めると判断したのだろう」と分析した。

 開業後に立ちはだかるのはアジアの主要IRだ。大阪IRは中心的な収益源であるカジノの主要顧客を海外からの富裕客と想定しており、若林氏は「シンガポールやマカオのIRと、顧客をめぐり厳しい競争になる」と語る。

 これらとの競争に打ち勝つため、大阪IRは「他国の模倣ではなく、大阪が持つ潜在力を最大限に生かす」(関係者)ことが求められる。施設の整備に加え、インバウンド(訪日外国人客)に好まれる大阪独自の伝統・現代文化や和食、歴史を楽しめるようにするなど、コンテンツ面の充実が求められる。

 府市が連合を事業者として正式に選定すれば、両者は来年4月に共同で国に提出する最終的なIRの整備計画を提出する。巨額投資をIR内にとどめず、関西経済の発展につなげる工夫も両者には求められている。(黒川信雄)

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