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「10万円給付」や「30兆円規模」…与党に経済対策求める声 衆院選に強い危機感

 新型コロナウイルス禍の景気浮揚策として、与党内で大規模な追加経済対策を求める声が上がっている。背景にあるのは次期衆院選への強い危機感だ。ただ、衆院選前に経済対策の裏付けとなる補正予算を成立させるには、次期国会で審議しなければならず、与党は予算の大枠の提示にとどめる方針だ。

 与党内で追加経済対策への言及が相次ぐようになったのは、過半数の獲得を目標に掲げながら果たせなかった今月4日投開票の東京都議選がきっかけだ。翌5日には自民党の下村博文政調会長がBSフジ番組で早速、経済対策として生活困窮者を対象に1人当たり10万円の給付を検討する考えを示した。

 二階俊博幹事長も8日、追加経済対策について「思い切った対策を講ずるべきだ」と述べ、規模に関しては「30兆円に近いものを考えていかなければならない」と具体的に語った。

 また、公明党の山口那津男代表は12日、「選挙前にもちろん経済対策は掲げたい。よく自民とも相談し、政府とも検討して進めたい」などと語り、衆院選前に経済対策を打ち出すことに強い意欲を示した。

 ただ、与党は経済対策の裏付けとなる補正予算案の編成は衆院選後に先送りする考えだ。国会で補正予算案を審議すれば、菅義偉政権への打撃を狙う野党に追及の場を与えかねない。首相に近い政権幹部は「選挙前に打ち出すのは予算の大枠だ。補正予算が成立するのは選挙後になるだろう」との見通しを語る。

 しかし、経済対策が政権与党の支持に結びつく保証はない。平成20年、当時の麻生太郎政権は「リーマン・ショック」による景気後退に直面。20年度第1次、第2次補正予算など総額75兆円の「景気対策の3段ロケット」と呼ばれる対策に取り組んだが、21年衆院選では「子ども手当」や「高速道路無料化」をマニフェスト(政権公約)に掲げた民主党に政権を奪われた。

 こうした公約は政権交代後、財源の裏付けが不十分だったことが判明したが、自民幹部は当時を振り返り「(政策面で責任を負う立場にない)野党はいくらでも経済対策の金額を上乗せできる。有権者は何となく野党の主張を選んでしまう」と話す。

 甘利明税調会長も25日放送のBSテレ東番組で補正予算の成立については「衆院選後、11月の臨時国会で成立させて直ちに執行していくのがいい」と強調した。(永原慎吾)

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