--新たな経営体制が本格始動した
「東原敏昭会長とは会社のパーパス(存在意義)について、よく議論している。会長は行動力があり、ABBパワーグリッド(ABBの電力システム部門)とグローバルロジックという2つの黒船を呼び込んだ。構造を変えて、基盤を作ることへの大きな思いと執念を持っている。その資産をいかに価値向上につなげていくかが自分の役割だ」
--経営の現状を基礎工事が終わった段階としている
「(次は)揺るがない建物を建てたい。相当なことがあっても安定的に営業利益1兆円を出したい。そのためには緩衝材や事業・地域のリスク分散が必要になる。建物の中に3~4本の柱があり、中心にデジタルの柱があるというイメージを描いている」
--注力するIoT(モノのインターネット)基盤「ルマーダ」の課題は
「事例は増えているが、顧客の製品活用がまだ少なく、グローバル展開もできていない。その解決策として、米グローバルロジックの買収を決めた。自分の仕事は日立にデジタルイノベーションを起こしていくことだと思っている」
--ABBパワーグリッドは買収後1年が経過した
「統合は非常に進んだ。今後期待しているのは、インダストリー(産業機器)分野との融合だ。カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量実質ゼロ)を目指す企業は多く、活躍できる素地ができている。次の中期経営計画では、ABBパワーグリッドとインダストリーのシナジーで、環境をリードする絵を描きたい」
--日立建機の今後の方向性は
「当社としては日立建機が成長したい姿を後押ししたい。今年度中に方向性を出したいと考えている」
こじま・けいじ 京大院修了、昭和57年日立製作所入社。平成20年中央研究所長、23年日立研究所長、24年執行役常務、26年CTO(最高技術責任者)兼研究開発グループ長、28年執行役専務、30年執行役副社長、令和3年6月から現職。東京都出身。