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事務方トップに伊藤氏 デジタル庁、課題は情報漏洩

 菅義偉(すが・よしひで)首相が肝いりの政策として打ち出したデジタル庁が9月1日、発足する。事務方トップとなる「デジタル監」には米マサチューセッツ工科大(MIT)メディアラボの元所長、伊藤穣一氏を起用する方向で調整しており、他省庁の局に当たる「グループ」の人事も急ピッチで進んでいる。

 伊藤氏はIT企業社長などを経て2011(平成23)年にデジタル技術の研究所であるメディアラボの所長に日本人として初めて就任。現在はIT企業デジタルガレージ(東京)の取締役を務める。

 デジタル庁は他省庁への勧告権など強い権限を持つ組織で、自治体ごとに異なるシステムの標準化など行政手続きのオンライン化を最優先で進める。デジタル監は特別職の国家公務員で、平井卓也デジタル改革担当相が就くとみられる初代「デジタル相」を補佐する。

 デジタル監の下には官僚のトップであるデジタル審議官と、CAIO(チーフAIオフィサー=最高人工知能責任者)など民間から登用した8人の責任者を置く。

 各省庁の局に当たる政策の実行部隊として4つのグループを設置。マイナンバーカードを活用した国や自治体の行政手続きのオンライン化や、医療や教育サービスのデジタル化などを進める。

 同庁の約500人の職員のうち約120人は民間から登用される見通しで、これまでにエンジニアやデータ解析の専門家ら民間から70人超を確保した。民間人材については企業に籍を置いたまま週に数日間だけ兼務することも認めた。課題は出身企業への情報漏洩(ろうえい)で、政府は情報システムの入札に関与できない職員の範囲を定めるなどのルール作りの検討を進めている。

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