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新型コロナワクチン「任意接種」の大混乱 全体的な視点を持とう (1/2ページ)

 【雇用のプロ 安藤政明の一筆両断】ネットニュースで『「接種したら無期限の自宅待機」タマホーム社長が社員に“ワクチン禁止令”』という「週刊文春」の記事を見たときは衝撃を受けました。「ワクチンを接種しなかったら」ではなく、「ワクチンを接種したら」なのです。真相は分かりませんが、思わず「週刊文春7月29日号」を購入してしまいました。

 厚生労働省は、ホームページにおいて「新型コロナワクチンの接種は、国民の皆さまに受けていただくようお勧めしていますが、接種を受けることは強制ではありません」と示しています。さらに、「職場や周りの方などに接種を強制したり、接種を受けていない人に差別的な扱いをすることのないようお願いいたします」と「お願い」しています。

 ワクチン接種を受けることは強制ではなく、各個人の任意です。しかし、厚労省は、明確に「接種をお勧め」しています。タマホームも「接種しないようお勧め」するだけであれば、何ら問題はなかったということです。

 ところで、以前から何にでも「○○ハラ」と付ければいいようなイヤな傾向があります。最近は早速、「ワクチンハラスメント」、略して「ワクハラ」という言葉が出てきているようです。任意接種であるにもかかわらず、接種を受けることや、受けないことを強制することは、この「ワクハラ」ということになるのでしょう。しかし、「お勧め」するだけなら、基本的にワクハラではないわけです。

 ワクチン接種が個人の任意であることは、既に広く知れ渡っています。従って、明確に強制する事業所は、極めて少数派だろうと思います。

 一般に、事業所が労働者に接種を受けるようお勧めするケースは少なくありません。中には「強く」お勧めするケースもあるようです。その程度が強すぎればワクハラかもしれません。明らかに一線を越えるのは、接種を受けない労働者に対し、不当な差別的取り扱いをすることにあります。

 私が事業所から受けた相談には、ワクチン接種を受けない者に対して(1)解雇(2)退職勧奨(3)来客らと接する部署からそうでない部署への異動命令(4)賞与の減額(5)自費でPCR検査を毎月2回受けることを義務づけ-などができるかどうかでした。

 一見、どれも問題がありそうに感じませんか。しかし、事業所には事業所の事情があります。主に顧客や取引先などとの関係です。

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