話題・その他

「コロナ後1年以内に肉の味が落ちる」絶好調の焼肉店を待ち受ける3つのリスク (1/2ページ)

 外食産業がコロナ禍の打撃を受けるなか、好調なのが「焼肉業態」だ。だが経営コンサルタントの鈴木貴博さんは「アフターコロナの変化は外食産業にもやってくる。焼肉業態には3つのリスクが待ち受けている」と指摘する--。

 ■アフターコロナでも「元の世界」には戻らない

 つねに少しだけ未来を先取りするのが経営者の視点です。デルタ株の収束にはまだ時間がかかるとしても、その意味ではビジネス界はアフターコロナを考え始める段階に入ってきました。高齢者へのワクチン接種が一巡したことで日本でも実は死者数は激減しています。イギリス、アメリカでは市民は日常生活に戻り始めています。第5波が猛威を振るう日本も、近い将来その仲間入りをするはずです。しかしアフターコロナになってマスクを外して生活ができるようになったとしても、世の中は以前と同じ世界には戻りません。

 アフターコロナの変化は外食産業にもやってきます。現在は焼肉業態が一人勝ちの様相です。昨年10月にはワタミが「和民」全店舗など居酒屋業態120店を「焼肉の和民」に業態転換すると発表しました。食べ放題で躍進する焼肉きんぐや、一人焼肉という新しいスタイルを提案する焼肉ライクなどの新規開店も目立ちます。

 その一方で、コロナ禍で大きく変わったビジネスの前提は、アフターコロナではもう一度大きく変わります。そのときに焼肉業態にはどのような機会とリスクが待っているのでしょうか。今回の記事ではそのことを考えてみたいと思います。

 ■緊急事態宣言中でも「客数7割」をキープ

 まず実際に、焼肉業態がどれくらい絶好調なのか、不振の居酒屋業界と比較してみましょう。図表1は主な飲食チェーンの既存店の客数の比較です。前年同月と比べてどれだけ増えたのか、または減ったのかがグラフからわかります。

 グラフの100のところが前の年と同じ来店客数だった月です。グラフの大半がそれよりも下にありますから、コロナ禍ではどの業態もそれなりに客数を減らしていることがわかります。

 ところが、暖色系の色で描いた焼肉業態と、寒色系の色で描いた居酒屋業態では客の減るレベルが全然違います。全体的に見てコロナ以降、大幅に低迷する居酒屋に対して、焼肉業態では顧客の減り方がそれほどではないことがわかります。

 鳥貴族、ワタミの居酒屋2社は、今年に入って2度目の緊急事態宣言が出るとがくんと顧客が減ってしまい、前年比で4割程度まで落ち込んでしまいます。しかし焼肉きんぐ、あみやき亭、安楽亭の焼肉業態3社は緊急事態宣言になっても7割前後の顧客をキープできています。

 ■焼肉人気は「換気の良さ」だけではない

 なぜコロナ禍で焼肉業態が堅調なのでしょうか。

 一番よく言われる理由が換気の良さです。最近の焼肉店では無煙ロースターを使うか、七輪の上に大きな換気扇を設置するのが主流です。そうするとだいたい3分で店内の空気が入れ替わります。換気のいい焼肉店がクラスターになりにくいことは広く知られているため、安心して出かけることができる。これが一番の理由です。

 そのうえで二番目以下の理由が加わってきます。

 二番目の理由として挙げられるのは、家庭で焼肉を楽しまない家が増えているという事情です。これは最近さんまを焼かない家庭が増えてきたのと同じで、リビングルームに油やにおいが染みつくのを避けるライフスタイルの家庭が増えているのです。

 その反動で「外食に行くなら家で食べられない焼肉にしよう」という選択をする人が増えてきた。回転寿司と並んで焼肉は、休日の贅沢の2本柱になっているのです。

 三番目にコロナの影響でリモートワークが増えたという事情があります。自宅で仕事をして夜、家族で食事をする。共働きであれば自宅の近所で食事をしようという話になります。そうなるとオフィス街の居酒屋から、ロードサイドの焼肉店にアフターファイブの需要が移ります。

 実際、コロナ禍で伸びている焼肉業態の多くがロードサイド店舗のチェーン店です。六本木や銀座にある接待需要の焼肉店と比べても、ロケーションとして住宅地に近いエリアの焼肉店が強い。人流のシフトが起きているのです。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus