メーカー

世界遺産までくっつける! 何でも接着するボンド、その原理や誕生 (2/2ページ)

 小林さんが「木工用の黄色いポリエチレンの容器は接着が難しい素材のひとつ。フッ素加工のフライパンもです」と教えてくれた。だからこそ、何千種類もの製品があるのだ。

 接着する仕組みを大きく分けると、木工用のように接着剤中に含まれる水や溶剤が蒸発して固まる「乾燥固化型」と主剤と硬化剤を混合すると固まる「化学反応型」、熱を加えると液状になり冷えると固まる「熱溶融型」、そして固まらず粘着性を保持する「感圧型」の4タイプがあるとされる。しかし、それぞれ得意分野は異なるようだ。何でもくっつく“夢の接着剤”はないのだろうか?

 小林さんは「接着の原理にはまだ解明されていない部分もあるんです」という。営業時代、得意先からの疑問や相談を受けるたびに同社の研究所へ通い、時には性能試験に加わって知識を深めたという小林さん。「もし、あらゆる素材に共通する接着の原理が判明すれば、1種類の接着剤ですべてをまかなえるようになるかもしれません」と不敵な笑みを浮かべた。

 ボンドの知識を深めて本社ビルを出た。道路を隔てた北隣には、堂々たる明治の建築物が見える。昨年、史料館へ生まれ変わったコニシの旧本社だ。建物を見上げて思う。

 「この風情ある建屋にもきっと、どこかがボンドの力で修復されているに違いない」

 勝手な解釈に自己満足してその場をあとにした。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus