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失われた文化財、特許技術を用いて精密に再現した「クローン」で復活 (2/2ページ)

 東京芸大は東大仏の頭の上に描かれていた「天翔る太陽神」の復元を試み、達成した。大仏が破壊される前に撮影されていたポジフィルムと、後に計測された仏龕(ぶつがん)の3Dデータを基に画像を合成。ラピスラズリなどの絵の具を塗って天井壁画を復元したのだ。

 東京芸大の井上隆史特任教授は「テロリストの野蛮な行為に対するカウンターメッセージでもあった」としている。壁画の縮小版は平成28年5月のG7伊勢志摩サミット(先進7カ国首脳会議)のサイドイベント「テロと文化財」で展示され、文化財を守る意義を世界に発信する役割も果たした。

 8メートル四方の天井壁画のある会場では、来場者が大仏の頭上からバーミヤンの風景を眺める臨場体験ができるよう演出している。

 同展では、クローン文化財としてほかに、高句麗古墳群(北朝鮮)▽キジル石窟(中国)▽ペンジケント遺跡(タジキスタン)▽アフラシヤブ遺跡(ウズベキスタン)▽アイ・ハヌム遺跡(アフガニスタン)▽バガン遺跡(ミャンマー)-を紹介している。

 また、絵画のクローン文化財も多数展示しており、最新のデジタル技術を用いて、絵画の一部が動く作品も。拡大した浮世絵では作者の細部へのこだわりなどが確かめられる。

 青柳正規名誉館長は「同じ部屋や、隣の部屋に移るだけで千キロの旅行をしたように見ることができる」と話している。

 展示会は四国では初めての開催で、井須学芸員は「フルボリュームの展示としては、ここが最後ではないか」と話していた。(村上栄一)

 8月29日まで。観覧料は一般600円(大学生以下無料)。

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