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パナは新工場、ダイキンは増産 家電各社が空気清浄機に注力

 新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、家電メーカー各社は空気清浄機の販売を強化している。独自技術の性能を高めた新製品を投入し、増産体制も構築。国内外で攻勢を強める。

 パナソニックは9月21日、イオンで空気をきれいにする独自技術「ナノイーX」の性能を高めた加湿空気清浄機を発売する。菌やウイルスなどの働きを抑制する成分「OHラジカル」の生成量が当初の技術に比べ100倍に上昇。「ルームエアコンや自動車などにも搭載したい」と意気込む。

 今月11日には中国・広東省で、空気清浄機などの新工場を稼働させた。新型コロナや大気汚染で空気の質に関心が高まる中国国内のほか、アジアや中東、北米などに輸出し、世界各地で売り込む。

 シャープはナノイーXと同様、イオンを使った独自技術「プラズマクラスターイオン(PCI)」搭載の空気清浄機が昨年度から好調といい、野村勝明社長は「売り上げが伸びた昨年度と同規模の収益を確保していきたい」とする。

 7月には机などに付着した新型コロナウイルスにPCIを2時間照射し、感染力のあるウイルスを99%減らしたとする実験結果を発表。閉鎖空間での実験のため家庭など実際の生活環境下で使用した際の効果は不明だが、性能の向上をアピールする。

 ダイキン工業では、コロナの感染拡大を受け、昨年度の空気清浄機の国内販売台数が77%増加。ストリーマ放電で有害物質を分解する独自技術をアピールする。

 生産ラインを3月、立ち上げた滋賀県草津市の工場に、9月を目途に新ラインを追加。海外には、中国や昨年末に生産体制を構築したマレーシアの工場から輸出する。

 今年度の世界販売目標は前年度比60%増の115万台を目指しており、十河政則社長は「中国やアジア、欧州などまだ伸ばせる市場で挑戦しなければならない」とする。

 空気清浄機の需要は世界的に高まる見通しだ。米調査会社「グランドビューリサーチ」は空気清浄機の世界市場が2021年の106億7千万ドル(約1兆1763億円)から28年には228億ドル規模まで成長すると予測。同社は「空気感染の増加や都市部での大気汚染レベルの上昇によって市場が牽引され、さらに健康意識の高まり、生活水準の向上、可処分所得の増加が成長を促進する」としている。

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