金融

みずほの信頼回復険しく 再発防止中の失態、自浄作用に疑問符

 再出発を誓ったばかりのみずほ銀行で20日、今年5回目となるシステム障害が発生し、みずほ信託銀行と合わせ計500店舗超で窓口の取引を一時的に全面停止した。再発防止策に取り組む中で繰り返された失態に、金融庁からも憤りの声が上がる。自浄作用に疑問符が付き、信頼回復の道のりは険しさを増している。

 システム障害では、みずほ銀行の463店舗、みずほ信託銀行の60店舗の窓口で取引手続きが一時的に全面停止。両行は店頭などでATM(現金自動預払機)やインターネットバンキングの利用を呼び掛けたが、窓口での対応が必要な外国為替取引の手続きが滞った。2、3月のシステム障害でATMにキャッシュカードが取り込まれたような「大きな混乱はなかった」(みずほ関係者)という。

 だが、19日夜に障害を把握したにもかかわらずホームページでの周知は20日午前8時半にずれ込んだ。「機械が簡単に使えない高齢の人たちに影響が出た」(麻生太郎金融担当相)状況で、他行で代わりに取引して手数料がかかった分などは補(ほ)填(てん)するという。金融庁幹部は「再発防止中にシステムトラブルなんて、聞いたことがない」とあきれ顔だ。

 みずほは母体となる第一勧業、富士、日本興業の旧3行の複雑なシステムを引き継ぎ、開業した平成14年4月と23年3月にも大規模なシステム障害が起きた。令和元年7月には4千億円超を投じて刷新した基幹システムが全面稼働したが、その後もトラブルが続く。

 第三者委員会が今年6月に公表した調査報告書では基幹システムに欠陥があったのではなく、人員配置など運用管理面での弱さがあったことが原因とした。だが、今回の障害は基幹システムと営業店の事務処理端末をつなぐ機器の故障が原因とされ、3月に起きた機器の故障と類似する。本当にシステム面での問題がないのか疑問は拭えない。

 企業統治に詳しい青山学院大の八田進二名誉教授は「金融機関の心臓部であるシステムの障害を繰り返すのは致命的。組織の膿(うみ)を出し切る覚悟で原因究明する必要がある」と指摘し、システムに精通した社外取締役を置いて監督するといった抜本的な改革を求めた。

(高久清史、永田岳彦)

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