内閣官房参与(デジタル政策担当)の村井純慶応大教授は27日までに産経新聞のインタビューに応じ、9月1日に発足するデジタル庁について語った。村井氏は日本のデジタル化について「各組織が縦割りで進めてきた」と指摘。デジタル化は全省庁や自治体にとって避けられない課題で「従来の縦割りの仕組みではできない」とし、省庁横断でデジタル化を進める権限を持つ同庁への期待感を示した。
村井氏は「日本のインターネットの父」と呼ばれるデジタル分野の第一人者。新型コロナウイルス感染拡大は日本がいかに「デジタル後進国」であったかを浮き彫りにした。村井氏は2001年の米中枢同時テロを契機に同国で省庁の縦割りを廃し国土安全保障省が創設された例を挙げ、「日本では、新型コロナとデジタル庁がこれに当たるともいえる」と語った。
デジタル庁は優秀な人材が官民を行き来する「リボルビングドア(回転扉)」を目指す。村井氏は官僚は予算さえ勝ち取れば評価される傾向があると指摘。結果へのこだわりが強い民間人材を活用し行政の目詰まりを解消できるとした。
ただ、村井氏は「これは理想にすぎない」とも言及。デジタル庁の性格は旧来の霞が関のあり方とはかけ離れており、本当に各省庁と連携してデジタル改革を断行できるかは未知数で、「デジタル庁はまだ張りぼて。これから魂を注ぎ込んでいく必要がある」と述べた。