首都圏が地盤のディスカウントスーパー、オーケー(横浜市)が3日、関西が地盤の関西スーパーマーケット買収に名乗りを上げた。関西スーパーは先月31日、阪急阪神百貨店などを運営するエイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングとの経営統合で合意していた。3社は過去にも水面下で牽(けん)制(せい)し合っており、因縁の対決が表面化した格好だ。
「株主利益の最大化の観点から公正に比較検討いただけたのか」
オーケーは3日に公表した声明で、自社からの買収提案を拒否しH2Oとの経営統合を選んだ関西スーパーに疑問を示した。
オーケーは関西スーパーが来月下旬に開く臨時株主総会で、H2Oとの経営統合案に反対すると表明。関西スーパーに対し、2日の終値を6割超上回る1株当たり2250円でTOBを行い、完全子会社化する考えを明らかにした。
昭和33年創業のオーケーは首都圏で120店舗以上を展開。創業者の飯田勧会長は、兄の保氏が居酒屋チェーン運営テンアライド、弟の亮氏が大手警備サービス、セコムを創業した経営者一族だ。過去には、売り場づくりや生鮮品の鮮度管理などのノウハウを学ぶため、関西スーパーに社員を派遣していたこともある。
今回の争奪戦に至る発端は平成28年。関西への進出を模索していたオーケーが、関西スーパー株を大量取得していたことが判明。資本提携を目指していたとみられるが、協議は進まなかった。同じ関西地盤のH2Oが同年10月、関西スーパーと資本業務提携し筆頭株主となった。
現在、H2Oが関西スーパー株10・65%を持つのに対し、オーケーも7・69%を保有している。
関西スーパーは3日、「H2Oとの経営統合を撤回する意向はない」とするコメントを発表した。
今回の買収合戦の背景には国内食品スーパー市場の縮小がある。新型コロナウイルス禍の巣ごもり需要は追い風となっているが、人口減少に加え、ドラッグストアやネットスーパーとの競争激化で、先行きは厳しさを増している。
岩井コスモ証券の清水範一シニアアナリストは「中堅スーパーが大手との価格競争で生き残るためには規模の拡大が求められる。今回の争奪戦で業界再編につながる可能性もある」としている。(山本考志)