金融

公取委、中小へのしわ寄せ防止にアクションプラン公表 最低賃金引き上げ控え

 公正取引委員会は8日、最低賃金の引き上げに伴って、中小企業が取引先から買いたたきなどの不当なしわ寄せを受けることがないよう、下請法の執行強化や相談対応強化などを柱とするアクションプランをとりまとめた。賃金上昇分のコストを取引価格に適切に反映できる環境整備に取り組む構えだ。

 公取委が最低賃金引き上げの時期に合わせて不当なしわ寄せ対策をとりまとめるのは初めてで、菅久修一事務総長は同日のオンライン会見で「情報収集などの成果も踏まえ、違反行為には厳正に対処する」と述べた。

 下請法では、下請け側の企業が労務費上昇に伴い単価の引き上げを求めたにもかかわらず、一方的に単価を据え置くのは買いたたきとなり、禁止行為だ。

 今月から展開するアクションプランでは、秋に実施する下請け事業者への定期調査で、製造業や情報通信など指導実績が多い業種の調査拡大を計画するなど、下請法違反の恐れがある事例の情報収集を強化する。最低賃金の引き上げとコスト上昇の関係についても調査する。

 さらに、下請け側からの相談強化策として、フリーダイヤルの相談窓口を今後開設するほかオンライン相談会も行う。さらに、下請法の普及啓発用の動画も作成、ウェブ公開する方針だ。

 令和3年度の地域別最低賃金の全国平均額は28円増の時給930円で、10月から適用となる。賃金の引き上げに伴う労務費や原料費などの上昇は避けられず、価格に適切に反映できる環境が求められている。

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