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中国不動産大手が経営危機 恒大集団、過剰債務問題が深刻化

 中国不動産大手の中国恒大(こうだい)集団で過剰債務問題が深刻化している。積極的な事業展開で11兆円を上回る有利子負債を抱えているところに、中国当局による不動産会社への融資規制などで経営が悪化。デフォルト(債務不履行)の懸念が生じているのだ。金融システムを不安定化させる事態を警戒して当局が指導に乗り出すなど緊張が増している。

 恒大は資金繰り難で経営が悪化している。中国誌の財新(電子版)によると、8日から一部金融商品の支払いを停止。9月上旬には、欧米の格付け会社であるムーディーズ・インベスターズ・サービスと、フィッチ・レーティングスが相次ぎ恒大を格下げした。

 ロイター通信によると、13日には広東省深センにある恒大の本社ロビーに約100人の投資家が押し掛けて、金融商品の償還などを求めた。インターネット上では経営破綻説も出回る。

 恒大は同日声明を発表し、破綻の噂を「事実でない」と打ち消した。一方で「現在、会社はかつてない困難にぶつかっている」とも説明し、危機を認めた。

 恒大は1996年に広東省で創業し、中国経済成長の波に乗り各地でマンション建設を手掛けて急拡大した。最近では住宅販売面積で中国2位となり、電気自動車(EV)の開発やサッカークラブの運営など事業の多角化も積極化させた。

 その代償は過剰債務だ。恒大の有利子負債は今年3月末時点で6740億元(約11兆5千億円)。住宅購入者の前払い金なども加えた負債総額は約33兆5千億円相当に上ると伝えられる。海外の機関投資家も恒大が関わる債券を保有しているといい、デフォルトとなれば国際金融市場への影響も懸念される。

 資金繰り悪化のきっかけと指摘されるのは不動産融資の規制だ。中国当局は昨年、新型コロナウイルスの流行を受けた景気対策として金融緩和を推進。その副作用として不動産市場にバブル懸念が生じたため習近平政権は対策に乗り出し、銀行の総融資残高に占める不動産融資の割合に上限を設ける措置を導入。不動産業界には逆風となっている。

 恒大の過剰債務問題を受け、中国人民銀行(中央銀行)は8月19日、恒大に対して経営安定と債務リスクの解消を進めるよう指導した。人民銀が不動産会社を指導するのは異例で、問題が金融システムをも揺るがしかねないとみて動いたとみられる。(北京 三塚聖平)

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