日本光学測定機工業会会長・浜田智秀さんに聞く
--光学測定機器は幅広い産業分野の技術開発や品質管理などの現場で使われている。新型コロナウイルス禍の影響は
「コロナ禍の収束はまだ見通せないが、年初から需要回復の傾向がみえてきた。光学式に限らず、他の測定器や工作機械などでも同様の動きが出ている。市場を牽引(けんいん)しているのは自動車や電機・電子産業だ。原材料の価格上昇や半導体の供給不足といった懸念材料もあるが、生産活動の回復は今後も続くとみられる」
--市場ニーズの展望は
「自動車産業は電動化、自動運転化などに向けた大変革が起こっている。電機・電子産業はデジタル化を支えるさまざまな機器の創出が続く。国内では労働人口の減少もあり、生産性の向上に向けた取り組みが加速していくだろう。光学計測は、そうした生産活動を支える検査や分析の高度化、効率化に貢献できる。検査や分析は専用の施設で行うことが一般的だったが、これからは生産ラインに近いところで常時分析しながら生産することも必要となってくる。そうした分野が計測器産業にとっての成長の舞台だ。また、可視光以外の光を使った光学測定技術も深耕したい。エックス線や赤外線、テラヘルツ波などを使った非破壊測定には大きな可能性がある」
--計測器産業の最新技術や製品を集めた総合展示会「測定計測展2021」を10月に開催する
「産業界の生産性向上に資する次代の検査・分析装置や関連サービスなどが多く出展される。自動運転車などにも多くのセンシング技術が利用されるが、そうした時代を支える技術の一端を発信する。“これまで見えなかったものを見る”という光学測定機器産業の将来をお見せしたいと考えている」
【プロフィル】はまだ・ともひで 九大工卒。昭和55年、日本光学工業(現ニコン)入社。執行役員、取締役常務執行役員などを経て令和2年4月、専務執行役員。平成29年7月から日本光学測定機工業会会長。山口県出身。