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エアウィーヴ、五輪選手村の経験ばねに寝具市場開拓 マットレス最適化で実績

 今夏の東京五輪・パラリンピックのオフィシャル寝具パートナーを務めたエアウィーヴ(東京都千代田区)は、寝具パートナーとしての取り組みから得た経験を生かし、寝具市場で新たな挑戦に乗り出している。東京大会では利用者一人一人に合わせてマットレスの最適化を実践、このノウハウを武器に市場での差別化を促進。睡眠の質を前面に、さらなる市場開拓に結び付ける構えだ。

 「われわれが顧客に提供しているのは、寝具ではなく質の高い睡眠。五輪やパラリンピックは、そのためのデータやノウハウを蓄積する上での収穫が多かった」という高岡本州(もとくに)・エアウィーヴ会長兼社長。

 同社はオフィシャル寝具パートナーとして東京五輪では約1万8000床、同パラリンピックでも約8000床もの寝具を選手村に配備した。話題となった段ボールベッドの上に配置されたマットレスは3分割されており、それぞれ裏表で硬さが異なる。硬さは4種類で、これを裏表も含めて組み合わせ、それぞれの体形に合わせてアレンジする。

 肩や腰、足をどういう硬さのマットで支えるかが睡眠の質を大きく左右する。同社は米スタンフォード大との共同研究で、睡眠の質が運動パフォーマンスを高めることも確認。そうしたノウハウを投入し、アスリート一人一人に最適な睡眠環境を提供した。

 「寝具パートナーに決まった当初は、これだけの数をどうカスタマイズするかが社内で大きな課題となった」(高岡会長)。これに対し同社は、正面と横から全身写真を2枚撮影し、個々のアスリートの体形データを算出。クラウド上でデータを解析して最適な組み合わせを提案する体制を整えた。これを「マットレス・フィット」と名付けてシステム化し、専用の端末も開発。同じシステムをスマートフォンでも利用可能にし、利用者自身が自由にアレンジできるようにした。

 この成果を踏まえ、同社は「マットレス・フィット」を一般ユーザーにも浸透させ、同社製品の差別化を進めていく。既にエアウィーヴの製品を扱う全国23カ所の店舗に「マットレス・フィット」の専用端末を設置しているが、今後も取り扱い店舗拡大とともに端末の設置を進める。通信販売による購入者に対しては、スマホの活用をPRし、最適化を促していく。

 同社の興味はパラリンピックにも向けられていた。「障害のあるアスリート向けはより難しいが、多くの学びが得られた。こうした経験、知見を蓄積し、今後は福祉施設や医療施設向け寝具分野の開拓も加速したい」(同)という。

 折しも、テレワークをはじめとする働き方の変化などもあり、質の高い睡眠に対する潜在的なニーズは大きい。同社はデジタル技術をさらに利用し、あらゆる人に最適な寝具を提供していく考えだ。(青山博美)

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