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ゲノム編集技術駆使、血圧上昇抑えるトマトが国内初販売 筑波大発ベンチャー

 遺伝子を狙い通りに改変する「ゲノム編集」技術を使って、血圧上昇を抑える成分「GABA(ギャバ)」を豊富に含むトマトを開発した筑波大発のベンチャー企業「サナテックシード」(東京)が、このトマトの国内販売を始めた。ゲノム編集食品をめぐる国の届け出制度の第1号食品。関連会社の公式サイトで取り扱っている。(篠崎理、写真も)

 トマトの名称は「シシリアンルージュハイギャバ」。同社の最高技術責任者を務める筑波大の江(え)面(づら)浩教授(生命環境系)が、遺伝子を効率的に改変できる「クリスパー・キャス9」と呼ばれる技術を駆使して開発した。

 糖度は通常と変わらないが、ふつうのトマトと比べてアミノ酸の一種であるギャバを4~5倍程度含んでいるのが特徴。ミニトマトより一回り大きく、1粒約15グラムのうちに、1日に十分な必要量とされるギャバを15ミリグラム含んでいると見込む。毎日1、2個食べることで、血圧の上昇を抑える効果が期待できるという。

 昨年12月、ゲノム編集食品の国の届け出制度で第1号になり、今年5月からはトマトの苗2万株を4千人以上の栽培モニターに無償で配布を始めた。契約農家でも栽培を始め、当初は栽培されたトマトを同社が全て買い上げ、粉末やピューレなどに加工して販売することを計画していたが、栽培モニターから「継続的に食べたい」などの声があり、加工品に先駆けて生食用トマトを販売することになった。

 同社は「契約農家として、特にハンディキャップなどを持つ人が農業分野で活躍する『農福連携』に力を入れている事業者とやっていきたい。ゲノム編集トマトを栽培する生産者の生活も豊かになるようにしたい」としている。

 ゲノム編集食品について国は、外部遺伝子が導入されず従来の品種改良と区別がつかないとして、表示を義務付けていないが、同社はゲノム編集技術を使ったことを自主表示する。

 販売は、関連会社の「パイオニアエコサイエンス」(東京)の公式サイト「青空トマト学園」で。価格は送料、税込みで2キロ6048円、3キロ7506円。

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