多様性の中で偉大な研究は生まれた。地球流体力学研究所の日本人研究者には日本での仕事を辞して渡米した者も多かった。「その不安定さがクリエイティビティにはいい」。真鍋氏は09年、特別招へい教授を務めていた名古屋大の広報誌のインタビューで当時を振り返り、こう語っている。
「もっと今の人たちも外国に出ていってほしい。うまくいかなくても英語くらいは上手になって帰ってくる。違ったものの考え方も吸収できる。研究で一番大切なのは、多様性です」
17年に日本で開かれた笹川平和財団海洋政策研究所主催の地球温暖化に関する講演会で、「天気予報の社会に対する貢献は大変で、本当はノーベル賞を与えてもいいと僕は思う。そのくらい今、天気予報は素晴らしくなってきた」と冗談交じりに語っていた真鍋氏。天気予報を超える地球規模の貢献に、最高の栄誉が贈られた。