経済インサイド

コロナ禍で使える写真激減 卒業アルバム作りで街の写真館にAI導入の動き (2/2ページ)

 多様化する卒アル

 AIを使った卒業アルバム作りの効率化は、文部科学省がまとめた全国の小中高校の先進的な取り組み事例集で紹介された。これをきっかけに、利用する学校が全国規模で拡大した。

 エグゼックによると、同サービスを利用した写真館は昨年度の100件から、今年度は250件へと2・5倍に急増。街の写真館が同サービスで学校側とアルバム制作作業で連携し、オンラインでアルバムで使う写真の入れ替えやレイアウト変更なども行えるといった高い利便性が“口コミ”で広がったという。

 「近年は若い新任の先生が価格を比較し、チェーン展開する大手写真館に卒業アルバム制作を以来する傾向もあり、街の写真館が淘汰(とうた)されるケースも増えつつある」。エグゼックの山中淑史経営企画部長は街の写真館の抱える課題についてこう指摘する。「街の写真館はこれまで培った地元学校との信頼と実績がある。それがコストや効率化という点で差をあけられるならば、それを埋めるサービスを提供することで町の写真館の手助けになりたい」と意気込む。

 とはいえ、今後の卒業アルバムの形態はデジタル技術のさらなる進歩で大きく変わる可能性もある。

 コンサルティング事業などを展開するMsは、AR(拡張現実)技術を導入した卒業アルバムの提供を始めている。専用アプリを起動してスマートフォンをアルバム内の写真にかざすと、動画をみることができる。コロナ禍で卒業アルバムに載せる写真が少ない中、新たなアプローチでアルバムの付加価値をつけようとする試みだ。

 プログラミング教育が必修化され、デジタル技術を履修する機会が増える中、生徒自身がAIを活用して卒業アルバムを制作することも考えられる。卒業生全員に同一の卒業アルバムが配布される通例が変わり、今後は生徒個別のオリジナル卒業アルバムを手に取る日が来るかもしれない。

(経済部 西村利也)

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