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中小企業改革へ3つの点に留意を Samurai CEO代表取締役 皆川和久さん

 --中小企業のコンサルティングを展開している。新型コロナウイルス禍による中小企業の経営環境への影響をどうみているか

 「中小企業を指導していて感じるが、多くの経営者が将来の方向性を見いだせていない。デジタル化や新型コロナウイルス禍もあり、経済社会は大変革期を迎えている。政府も『事業再構築補助金』など、中小企業支援に過去最大となる1兆円を超える予算を投じた。しかし、それらは改革や新事業などに挑戦しない企業は対象外だ。そうした挑戦をしない企業が多い。背景には経営者の高齢化で変化に追いつけないという事情がある」

 --業績にも影響が出ている

 「経営者が60代以上のところは約半数が減収。70代以上のところは約22%が赤字という信用調査会社の統計もある。もはや旧態依然の経営では生き残れない。変革すべきポイントは3つ。1つ目は競合他社のビジネスモデルを参考にしないこと。あえて異業種に目を向け、経営者は幹部も巻き込み研究する。2つ目は組織力強化のための社員教育。企業の成長は社員の成長と比例する。経営者が社員に望む『気づいてほしい』『理解してほしい』『行動してほしい』といったビジネスシーンを想定した教育を勧めたい。3つ目は経営者が社員と共感しあうための努力だ。胸を張って『尊重し理解しあえている』といえる経営者は少ない」

 --人材を育て、一丸となって変革に挑む必要がある

 「社員の成長はイノベーションを生みやすい企業体質への進化でもある。ひいては将来の方向性を見いだせる強い組織に変革できる。デジタル化やテレワークも大切だが、企業が継続的に発展し、生き残るためには企業価値の最大化が大事だ。その実現に向け3つのポイントを推進することが肝要と考えている」

 みながわ・かずひさ 大学卒業後、日立製作所やマルマンゴルフなどを経て、平成13年銀座テーラーグループ入社。14年専務。23年にコンサルティング会社のSamurai CEOを設立し、代表取締役就任。24年には中小企業庁「小さな企業 未来会議」サポーターも務めた。茨城県出身。

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