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「ドライバーの異変を察知し停車」 先進安全技術搭載のトラックができること (2/3ページ)

 乗用車における衝突被害軽減ブレーキも普及が進む。2020年に国内で販売された新車(乗用車)のうち、なんらかの衝突被害軽減ブレーキを装着した車両は90%を超えることが明確になった。

 普及率の増加は事故の被害を軽減する有用性が認められたからで、たとえばスバルの衝突被害軽減ブレーキを含む先進安全技術「アイサイト」装着車では、追突事故発生率が84%減少、歩行者事故発生率は49%減少している。これらを裏付けにした社会的損失度の低下から、2020年/2021年と2年連続して自賠責保険料が引き下げられた。

 そして2021年11月以降に販売される新型の乗用車に、衝突被害軽減ブレーキの義務化が施行され、トラックと同じく継続生産車には2025年12月(11月末日)までの猶予が設けられている。

 乗用車の衝突被害軽減ブレーキもトラックと同じく前述した2つの段階から構成されるが、乗用車の世界では、第二段階の「システムによるブレーキ制御」のイメージがCMなどの影響を受け先行したことから、「自動ブレーキ」などといった過大評価がなされ、いつでもどこでも完全停止するといった誤解も生まれた。

 大型トラックによる死亡事故の25%は「左折時の巻き込み事故」

 ところで、乗用車の世界で実用化された先進安全技術のうち、たとえば高速道路などで前走車を追従する「アダプティブクルーズコントロール/ACC」機能や、車線の中央を維持する「レーンキープ/LK」機能は、すでに多くの大型トラックに実装済みである。

 しかしながらGVWのかさむ大型トラックが加害車両となる交通事故では、運動エネルギーの大きさから被害が大きくなる傾向があり、そこをいかに先進安全技術で抑えるか、これが昨今の課題といわれる。

 また、長時間労働となる物流業はドライバーの身体的負担も大きいため、先の先進安全技術によってその負担を減らし危険な状態に近づかない運転環境の構築が求められている。

 そうしたなか今回は、三菱ふそうの大型トラックのステアリングを握り、機能強化された2つの新技術を体感した。

 新技術の一つ目「アクティブ・サイド・ガードアシスト1.0」は、自車トラックの左側を歩く人や、車道を走る自転車にもかかわらず、(1)左ウインカーを出して左にステアリングを操舵した際、(2)警報ブザーと警報ランプで巻き込み事故の危険性を報知し、(3)それでもドライバーが反応しない場合には自動的にブレーキ制御を行う機能だ。

 上記のうち(1)と(2)はすでにスーパーグレートに実装済みであったが、今回(3)の自動的なブレーキ制御が機能強化として加わった。三菱ふそうの技術者によると、「大型トラックが加害車両となる死亡事故のうち25%が左折時の巻き込み事故であることから、今回の機能強化に至った」という。

 最終的な回避操作は、ドライバーに委ねられる

 試乗したテストコースでは自転車に見立てたダミーを自車トラックの左側で走らせ、交差点を左折するシーンを再現した。

 左側にダミー自転車を発見するとすぐさま左Aピラー(車内左前の助手席側にある柱)部分のLEDランプが点灯、そこから自転車との距離が狭まると警報ブザーで報知、そのままウインカーを操作して左にステアリングを操舵するとブレーキ制御が介入し、接触事故を抑制する。このとき車両はブレーキを弱めず停止を保持し二次事故を防ぐ。

 ブレーキ制御が介入するとはいえ、プロフェッショナルドライバーが運転する大型トラックであることから最終的な回避操作はドライバーに委ねられシステムは急ブレーキを行わない。

 「急ブレーキは積荷にも負担がかかり荷崩れの原因にもなることから、衝突を回避するために最低限のブレーキ制御に留めた」と前出の技術者は言う。

 新技術の二つ目「アクティブ・ドライブ・アシスト2」は、これまでの「アクティブ・ドライブ・アシスト」に「車線内停止型のドライバー異常時対応システム」を追加したもの。

 固有名詞ばかりなので、まずはアクティブ・ドライブ・アシストの説明から。この機能は、前出のACC機能とLK機能を組み合わせた先進安全技術だ。アクセル&ブレーキ操作とステアリング操作にアシストが入ることから自動化レベル2の段階で、2019年からスーパーグレートには実装済み。

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