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時短制限解除も悩める飲食 協力金打ち切りで収益圧迫も

 東京都と大阪府などで新型コロナウイルス対策として飲食店に要請していた営業時間短縮が25日、解除された。長期にわたり通常営業の自粛を求められてきた飲食店にとっては待望の制限解除だ。ただ、諸手をあげて喜べる状況ではない。再び感染が拡大することへの懸念は付きまとい、時短要請に伴い自治体から支給されていた協力金も打ち切られる。客足が戻らなければ、収益へのマイナス要因にもなりかねない。

 「本当に客足が戻るのか、これからが本当の勝負になる」。ある居酒屋チェーンの担当者はそう気を引き締める。

 時短要請が解除されたが、業界にはあまり楽観的な雰囲気はない。長期間にわたる酒類の提供禁止や時短営業は、経営に深刻な影響を及ぼしている。

 各社の直近の決算内容を見ても厳しい状況は明らかだ。テークアウトの拡充や、比較的収益が見込める業態への転換などを進め、昨年よりは業績を改善させているものの、コロナ前と比べると今年も売り上げは3~4割程度落ち込んでいる状況だ。

 通常営業への移行を手放しで喜べない背景には、時短要請に伴って自治体から支給される協力金が打ち切られるという事情もある。例えば東京都の場合、9月は1店舗当たり最大600万円が、酒類の提供などが始まった10月も最大480万円が支給され、各社の収益を下支えしてきた。

 居酒屋チェーン「土間土間」などを展開するコロワイドも今年4~6月の3カ月間で計約53億円を計上しており、売り上げがコロナ前と比べて3割近く落ちる中でも最終黒字を確保している。

 逆に言えば、通常営業の再開で、協力金を上回る利益を生み出さなければ、経営環境は改善されない。しかし、長引くコロナ禍で人々の生活習慣は変わり、テレワークを続ける人も多い。夜の街にどれだけの人が戻ってくるのか、各社は手探り状態だ。

 外食大手、ワタミの渡辺美樹会長兼社長も、今月開いた記者会見で居酒屋の市場について「(コロナ前の)約7割に縮むだろう」と厳しい見方を示している。光明は見えたものの、もとの収益力を取り戻すにはまだ時間がかかりそうだ。(蕎麦谷里志)

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