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「トヨタですら危ない」中国の激安EVが日本の自動車産業を潰しかねない理由 (3/3ページ)

 ■「脱炭素を進め、国滅ぶ」では本末転倒だ

 このように考えると、中国EVが上陸したと騒いでいるうちに、主体が巨大IT企業に置き換わり、OEM企業と提携して国内市場を席巻する恐れがあるという現実を十分に警戒する必要がある。

 もちろん脱炭素を意識しなければ企業としてやっていけない。物流企業の事情は理解できる。自動車産業におけるファブレス、OEMの構図は放っておいても起きるだろうし、そもそもサプライチェーンを効率化した結果だという指摘もあるだろう。また、日本の商用EVが価格競争力を持っていれば済むという指摘はもっともだ。

 ただ、こうした楽観的観測が、結果として自分たちのクビを絞めることになるのではないかと筆者は危惧する。生き残りをかけて脱炭素を全力で進めた結果、国の主力産業が滅ぶという事態になれば、それこそ本末転倒ではないだろうか。

 

 前田 雄大(まえだ・ゆうだい)

 元外務省職員、EnergyShift発行人兼統括編集長(afterFIT 執行役員 CCO)

 1984年生まれ。2007年、東京大学経済学部経営学科を卒業後、外務省入省。開発協力、原子力、大臣官房業務などを経て、2017年から気候変動を担当。G20大阪サミットの成功に貢献。パリ協定に基づく成長戦略をはじめとする各種国家戦略の調整も担当。2020年より現職。日本経済研究センターと日本経済新聞社が共同で立ち上げた中堅・若手世代による政策提言機関「富士山会合ヤング・フォーラム」のフェローとしても現在活動中。自身が編集長を務める脱炭素メディア「EnergyShift」、YouTubeチャンネル「エナシフTV」で情報を発信している。

 

 (元外務省職員、EnergyShift発行人兼統括編集長(afterFIT 執行役員 CCO) 前田 雄大)(PRESIDENT Online)

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