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「このままでは廃業」燃料高騰、中小運送業者が悲鳴

 原油価格の高騰による燃料費の上昇が、中小のトラック業者の経営を圧迫している。特に燃料を多く使う長距離運送業者の状況は厳しく、贈答品などで荷動きが増える12月の最繁忙期を前に業界からは「このままでは廃業が相次ぐ」と悲鳴が上がる。政府は燃料高対策として石油元売り業者への補助金支給を検討しているが、運送業界からは効果に疑問の声も出ている。

 「うちはトラック約50台を走らせているが、燃料費だけで毎月の収益から平常時より200万円多く削られている」。長距離から近距離まで運送業務を担う東京都内の中小企業の担当者は漏らす。

 運送会社など約5万社が加盟する全日本トラック協会は今月、燃料の軽油の価格上昇分が適正に運賃に反映されるよう荷主企業団体に働きかけることをはじめ、負担軽減に向けた直接補助などを国土交通省に要請。これを受けて同省は10日、荷主企業が運賃を不当に据え置く行為が法律に違反するなど、強い表現で荷主団体に文書で周知した。

 ただ、同省担当者は「荷主側も厳しい経営状況にあるだろうし、どこまで応じてもらえるか」と話す。

 政府は、ガソリン価格が一定水準を超えた場合に石油元売りへの補助金支給で価格上昇を抑える構えで、軽油についても同様の措置を検討している。

 だが、運送業界関係者は「補助金を出したからと言って石油元売りが卸売価格を下げてくれるとはかぎらない。直接補助でないと確実ではない」と指摘。川崎市の運送会社、又新(ゆうしん)運輸(トラック保有数約80台)の古谷留美子社長は「負担を軽減するとしたら燃料税の撤廃」と踏み込んだ支援を求めた。

 経済産業省が17日発表した15日時点の軽油1リットル当たりの全国平均小売価格は、8日時点の前回調査と比べて20銭安い148円60銭と11週ぶりに値下がりしたが、高い水準が続いた。

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