デジタル羅針盤

中国では「次世代発展計画」策定、AIの事例研究通じ人と事業成長

 人工知能(AI)を活用した新しい事業やサービスに関するニュースが毎日のように届く。自動車、家電、通信、金融など応用範囲は幅広い。AIをベースとしたサービスを提供する企業も年々増え、株式市場や投資ファンドから資金を調達するなどして事業を拡大している。昨年のAIの世界市場規模は4兆円超とも言われ、年間40%という驚異的な成長率で5年後には30兆円以上になると予測される。

 AIといってもさまざまな技術が用いられており、例えば音声認識と画像認識とでは異なる理論が基本になっている。中国では「次世代AI発展計画」が策定され、国を挙げて産業の発展を促している。数年後には、さらに革新的なサービスが生まれてくるものと期待される。

 一般企業でも、カメラやセンサーなどの情報収集装置の進化により、AIの学習に必要なデータを手軽に集められるようになった。収集したデータは、IT企業のサービスを使って分析することができる。製造業でいうと、製造ラインに取り付けたカメラの画像から不良品を見分けたり、製造機械に取り付けたセンサーで振動やノイズを収集して故障を予知したりするものが、外部サービスの学習機能を活用して実現できるようになってきた。

 その一方で、自社にノウハウや人材が不足して導入が進まないという話が聞かれる。2030年には10万人以上のAI人材が不足するとの予測もあり、企業間の人材争奪戦は激しさを増す。年齢とは無関係に高年収が当たり前で、社外から経験者を採用するのは容易ではない。

 人材の不足を嘆いても仕方がなく、自社なりに工夫を施すしかない。社内で推進チームを組成し、技術動向や導入事例を研究して適用可能分野を見極め、どのようなデータを解析して事業に活用するのかに工夫を凝らす。社外のリソースを使うにしても、社内にノウハウが残る仕掛けにする。企業自身が学習プロセスを踏むことで、人も事業も成長する。(小塚裕史)

 【プロフィル】こづか・ひろし ビジネス・コンサルタント。京大大学院工学科修了。野村総合研究所、マッキンゼー・アンド・カンパニー、ベイカレント・コンサルティングなどを経て、平成31年1月にデジタル・コネクトを設立し、代表取締役に就任。主な著書に『デジタルトランスフォーメーションの実際』(日経BP社)。兵庫県出身。

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