特許出願技術動向 「IoT」も調査対象へ

生かせ!知財ビジネス
中国や韓国も注目する特許出願技術動向調査の報告書

 特許庁は、2016年度に実施する「特許出願技術動向調査」のテーマに、あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT」を新たに加える方針だ。世界の産業・社会の在り方が、IoT技術によって大きく革新されるといわれる中、IoT時代に対応した日本の産業・科学技術振興政策や企業の経営・知財戦略を策定する必要性が指摘されている。こうした政策や戦略決定の検討資料とするために特許動向を軸に研究開発、政策、市場などの動向をまとめ、日本のポジションや競争力の現状、課題などを総合的に洗い出すのが狙いだ。

 担当する同庁企画調査課は「IoTへの関心は企業の知財部門だけでなく経営部門などでも非常に高まっており、企業や業界団体から調査要請が相次いでいる。審査部などと庁内調整を進めているが、IoTに関連する技術分野は非常に幅広いため、センサー、データ解析、クラウドなど基盤となる技術を中心に、年代面を含めて絞り込み対象と範囲を慎重に検討する」としている。

 正式に調査対象に決まれば、学識経験者や有識者らから構成される委員会を組成し、分析方針などを詰める。基礎となるデータは、国内外の特許データベースから特許出願・登録状況を抽出するほか、論文データベースなども活用して収集する。調査報告書はまとまり次第、経済産業省、特許庁や関連省庁、産業構造審議会、総合科学技術・イノベーション会議などの資料に活用するほか、17年3月までには企業などに提供する。

 特許出願技術動向調査は、特許庁が1999年に開始した。毎年10~20分野の技術テーマを掲げ、今年度末までの累計は延べ224テーマに達する。調査報告書は1テーマにつき300~800ページ、厚さ2、3センチの冊子になる。電子媒体でも出版されている。

 わが国の重点推進技術の最新情報が示され、海外からの注目度も高い。「中韓の企業は日本語が堪能で、目を凝らして読んでいる。技術情報の流出につながる危険性もある」(都内の国際知財コンサルタント)と指摘する。もちろん特許庁は配布先を確認しているが、国会図書館でのコピーは止めようがないという。

 IoTに関する調査で何が出てくるのか。内容によっては、公開方法にさらなる慎重さが必要になりそうだ。(知財情報&戦略システム 中岡浩)