難航する「もんじゅ」見直し 新「再処理機構」で運営を

論風

 □社会保障経済研究所代表・石川和男

 原子力発電所から出た使用済燃料からウランとプルトニウムを抽出する「再処理」事業の枠組みを改正する法律が先月成立した。認可法人「使用済燃料再処理機構」を新設し、この新機構が日本原燃(青森県六ケ所村)に業務を委託。国の関与を強め、再処理事業を安定継続させるのが目的。国は、再処理によるプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を再利用する核燃料サイクルを推進。六ケ所村の再処理工場はその中核施設だ。

 ◆周囲に翻弄

 だが、この六ケ所再処理工場は過去のトラブルと、現在の原子力規制委員会の新規制基準の“過剰・異常な”運用もあって竣工(しゅんこう)時期は不透明なまま。マスコミは、高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の運営にも先が見通せない中、国は枠組み変更で核燃料サイクル政策の延命に一手を講じた形だ、との論調で統一されているかのようだ。

 昨年11月に規制委はもんじゅ運営をめぐり保守管理上のミスが続く日本原子力研究開発機構(JAEA)を「能力不足だ」とし、別の運営主体を探すよう文部科学省に勧告。これに対し同省は先月27日、規制委が求めた具体的な運営主体の特定を先送りすることを決定。これを受け馳浩文科相は「費用対効果も検討しながら新運営主体を一日も早く特定したい」と語った。

 高速炉を扱うことができる専門家集団は、今現在もんじゅの現場にいる職員以外にはいない。もんじゅの今後を考えていくに当たり、これまでの経緯を考えれば、もんじゅの現場に問題が全くなかったとはいえないが、それを差し引いても、国会、監督官庁、マスコミなど現場とかけ離れた場所にいる人たちに翻弄されてきたと強く思う。私に言わせれば、もんじゅは政治からもマスコミからも一方的に悪者扱いされ続けてきた。これは変だ。もんじゅの現場には、高速炉に係る成否の経験、知見が蓄積されている。

 ◆独立性の確保

 政府が敷くべきルールとは、その現場の技術者に安全確保やそれを前提とした事業の遂行に関して、高い責任感と実際の責任を持たせるような制度を整備していくことにある。政治やマスコミに左右されないようなプラント現場の独立性を高める事業遂行体制が最善だからだ。現場主導のルールに改めていかないと、いつまでたってももんじゅは本来行うべき実証事業の再開とその終結に向けて進んでいけない。

 規制委が問うているのは、もんじゅ存続の可否ではなく、運営組織のあり方。何らかの新たな組織を提案すべきとなるが、全く新しい組織を一からつくるというのは難しい。そうなると、JAEA以外の組織であってもんじゅに親和性の高い組織はどこか、となる。文科省はJAEAのもんじゅ部門を分離して新法人設立を検討するだろうが、また組織を増やすのか?

 ◆「国家事業」の再認識を

 そこで提案したいのが、新機構へのもんじゅの移管だ。そして、今後は予算を惰性的に交付し続けるのではなく、例えば「予算は従来の倍にするが、必ず5年で100%出力を達成して基本データを取る」というような即効性のある施策に改め、短期で目標達成を図るよう制約を付すべきだ。

 もんじゅの建設費は5886億円で、運転維持費が1989~2015年で4339億円。運転維持費は年額約200億円。短期で目標達成することが、コスト削減に有効であることは明らか。JAEAをこれ以上たたいても、何も生まれて来やしない。もんじゅに反省点が多いのは周知のことだが、今まで国が長年にわたって、振興する側としても、規制する側としても、直接関与してきた国家事業であることを再認識する必要がある。この点でも、一番問われるべきは国の行政責任なのである。

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【プロフィル】石川和男

 いしかわ・かずお 東大工卒、1989年通産省(現経済産業省)入省。各般の経済政策、エネルギー政策、産業政策、消費者政策に携わり、2007年退官。11年9月から現職。他に日本介護ベンチャー協会顧問など。49歳。福岡県出身。