第30回先端技術大賞 高円宮妃久子さまのお言葉

 

 本日、「第30回 独創性を拓く 先端技術大賞」の授賞式にあたり、皆様とご一緒できますことを大変うれしく思います。このたび、受賞された皆様、誠におめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。

 先端技術分野の研究開発の重要性が改めて見直され、独創的な研究開発が一段と注目を集めるようになった昨今、日本の先端技術の研究開発は、世界でも高く評価されております。今回も若い研究者の斬新な発想と、既成の概念にとらわれることなく積極果敢にチャレンジしていく柔軟な頭脳、独創性あふれる思考能力と力強い信念に感心いたしました。

 また、研究を人間社会において役立つ製品として、さまざまな形で実現された研究者、開発者の創意工夫と情熱に、心より敬意を表します。

 先端技術の研究開発は、私たちの安全や健康、衛生など、日常的な暮らしを根本から支えています。そしてわが国の平穏と平和を守ってくれるのも最新の科学技術ですので、明るい将来を築いていくためには、一見目立たない地道な研究開発の積み重ねに大いに投資していく必要がありましょう。

 科学技術が目覚ましい進歩をし続ける現代において、先端技術の研究開発過程で得られるデータは、まさに人類の財産、知的資源であり、その質の高さは技術立国ニッポンの国力ともいえます。若者の理科・理系離れはいまだ懸念されているようですが、夢を現実のものにする科学技術の偉大さやあふれるロマンを、中学生や高校生にもぜひ伝えていただきたいと思います。

 科学技術分野では解明を待つ研究領域がまだ数多くあり、科学技術が果たす役割は今後ますます大きくなって参ります。

 私たち地球に生きるすべての生命体が、気候変動という大きな問題に直面しており、エネルギーの確保や自然災害への対策などに追われております。戦後私たちは、安全で豊かに暮らす幸せを当たり前のことと考えがちですが、テロ対策も含めて国民の平穏を守るには、科学技術は欠かせません。また、少子高齢化が進み、生産や介護、サービスなど人手不足が心配される中、ITや人工知能、ロボティクスの研究開発が解決の糸口となるでしょう。

 ただ、科学技術の力をもって多くを変えることができますが、それがゆえにそれを実用するときの人間の資質が問われます。大惨事につながることも想定できますので、家庭や教育の現場、そして社会において、将来を背負って立つ若者をしっかりとした理念を持つ人間に育てていく責任があります。

 ここにご出席の皆様には、将来を担う人材の育成とともに、そのような若者を育てる土壌としての国づくりに力を尽くしていただきたいと思います。

 本日は、科学技術の素晴らしさに改めて思いを致す機会を頂き、ありがとうございました。皆様の研究がさらに充実、発展していくことを心より願い、また今後のご活躍を祈念して式典に寄せる言葉といたします。