「3i研究会」 特許情報担当者の新境地開く
生かせ!知財ビジネス特許情報や文献情報に関する企業担当者や専門家ら約700人を会員とする情報科学技術協会(INFOSTA)は、広範な情報の収集、分析、提案能力の研鑽(けんさん)を積む場として3年前に設立した「3i研究会」の第4期活動を25日から東京、30日から大阪でそれぞれスタートする。特許出願や研究開発の推進だけでなく、さまざまな組織の課題に対する意思決定の方向性を示唆できるような能力の養成を目指している。
同研究会は特許情報担当者がこれまで行ってきた、先行・競合する特許・技術調査や侵害可能性のある他社特許調査などの能力向上を図るものではない。広範な情報解析能力をベースに、コンサルティング的な提案能力の習得までをイメージしている。同協会の時実象一会長は「特許情報だけでなく総合的な情報解析に3i研究会の一番の特徴がある。これから(の知財部門や特許情報担当者に)求められる能力である」と説明する。
第3期の研究報告会では「(自社技術を売るための)営業活動に有効な情報収集・解析のあり方」や「高知県の特性を活用した観光政策および地域活性化案の提案」「2020年東京オリンピックに向けたMade in JAPAN商品企画の提案」など対象分野は知財にとどまらず、参加者が自ら設定した挑戦的な発表テーマが並んだ。これからの特許情報担当者に求められる多様な情報分析・解析能力を反映していた。
データベース(DB)も特許や論文に加えて記事情報や企業情報、市場情報などのDBと解析ツールが研究会から提供される。参加者は自らが集めたウェブ情報や取材データも使うが、大半は「これだけ多くのDBを扱った経験はない」という。数人で構成される研究グループをテーマごとに形成し、11月から翌年7月にかけて試行錯誤しながら一つの提案(研究報告)にまとめる。
3i研究会を指導する屋ヶ田和彦氏は「異なる企業の担当者が集まって論議し、中間発表会では指導アドバイザーや他のグループから厳しい講評を受けながら、説得力ある提案を練り上げる能力を養っていく」と言う。
情報活用人材の高度化と確保は、これからの超スマート社会の大きな課題だ。特許情報担当者の新境地を開く、3i研究会の今後に注目したい。(知財情報&戦略システム 中岡浩)
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