VALUENEX10周年、ビジョンにぶれなし
生かせ!知財ビジネス情報解析サービスのVALUENEX(東京都文京区)が設立10周年を迎え、都内で開いた祝う会には顧客企業の幹部、支援者、知財関連サービス企業の経営者ら約120人が集まった。設立から現在までと今後について、中村達生最高経営責任者(CEO)に聞いた。
--これまでを総括すると
「以前は民間シンクタンクで国の産業動向調査を担当していた。市場ニーズと技術シーズの関連を定量的に解析できれば産業活性化や企業の開発力向上に生かせると考え起業した。強みはあらゆる知的な情報を大量に超高速処理し可視化する技術力。専門家向けツールの開発やコンサルティングから入り、いずれ一般向けに専門家なみの機能が使えるサービスを展開すると戦略を決めた」
--2002年の知財立国宣言を機に数々の知財ビジネス会社がスタートしたが、多くは撤退した
「当初描いた経営ビジョンや戦略をぶれなく進めてきたことが生き残れた理由の一つではないか。起業当初は苦労した。例えば10年前の特許調査は、企業が特許出願をする際の障害となる先行特許を見つけるため、データを絞り込む手法が使われていた。これに対して、われわれは技術分野の組成を知るため、大量のデータを使った全体の俯瞰(ふかん)から入る。木を見たいのに森を見ている、こんなモノは使えないと猛反発を受けたものだ」
--ビッグデータやAI(人工知能)の時代を迎え、大量のデータ活用に対する理解が進んできた
「そうだ。日本の大手企業では今、2030年の製品、サービスの予測分析を盛んに行っている。未来を予測する手法をプレディクティブアナリティクスというが、海外の主要企業では既に、研究開発、投資、マーケティングなどの分野で導入されている。当然、企業評価の基準は過去の実績より未来の可能性へと移っている」
--今後の展開は
「最も重要なことはアルゴリズム(計算手法)の創出だ。流行のAIも問題を解決へと導く解析モデルを使用するためのアルゴリズムを載せている。アルゴリズム開発企業の矜持(きょうじ)をもち、ごまかしのない正しいサービスを、業種を問わず全世界へ提供していきたい。9月には米国ワシントンで初のVALUENEXフェアを行う」(知財情報&戦略システム 中岡浩)
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