「最強の生物」クマムシの秘密解明 放射能対策の力持つ遺伝子

 
ヨコヅナクマムシ(国枝武和・東京大助教提供)

 高温や真空などの過酷な環境で生きることができるため「最強の生物」と呼ばれる小動物クマムシが、強い放射線からDNAを守る遺伝子を持つことを見つけたと、東京大や国立遺伝学研究所(静岡県三島市)などの研究チームが20日付の英科学誌に発表した。

 通常、DNAは強いエックス線を当てると傷つくが、人の培養細胞でこの遺伝子を働かせると、損傷が大幅に少なくて済むことも分かった。実験した東京大の国枝武和助教は「クマムシの類いまれな強さの理由の一端が明らかになった」と話した。

 チームは、クマムシの中でも極めて強い放射線に耐えることができるヨコヅナクマムシのゲノム(全遺伝情報)を解読。DNAにくっついて放射線から守るタンパク質を作る遺伝子「Dsup」を発見した。

 この遺伝子を人の腎臓の培養細胞に組み込んだ上で、人間なら半数が死ぬほどの強いエックス線を当てると、切断されるDNAの量が通常の細胞に比べて約4割、減少した。また通常細胞が増殖する能力を失っても、この細胞には残っていた。

 ヨコヅナクマムシに特有の遺伝子が他にも多数見つかっており、チームは生命力の強さとの関係を調べる。

 ■クマムシ

 8本の脚を持つ体長1ミリ未満の動物。約1200種が知られ、市街地、深海、山などに幅広く生息する。陸上に生息する種は乾燥すると縮まって「乾眠状態」となり、水分を得ると活動を再開する。乾眠状態では真空や、100~零下273度までの厳しい環境に耐えられる。欧州宇宙機関の実験では、乾眠状態のクマムシを10日間宇宙空間に直接さらした後、地上で水を加えると再び活動した。南極で採取され、約30年間凍っていたクマムシが水を与えられて復活し、産卵した例もある。