朝日新聞と上毛新聞、嘘の発表にだまされ“虚報” ゲーム世界大会で優勝したと太田市臨時職員

 
28日付の朝日新聞おわび

 群馬県太田市の臨時職員の男性(23)が、20日と21日に仏パリで開催されたとするゲームの国際大会の格闘ゲーム部門で優勝したとして記者会見を開いた内容が虚偽だったことが28日、分かった。記者会見を受け、朝日新聞と、群馬県の地方紙の上毛新聞は記事を掲載しており、2紙は28日付で訂正記事を載せ、おわびした。

 朝日新聞は27日付の群馬県版で「太田の◯◯さん(紙面では実名)、格闘技ゲーム世界一 パリの大会で優勝」との見出しで掲載。上毛新聞も同日付のスポーツ面のトップで「◯◯さん(同)頂点 仏で格闘ゲーム世界大会」と大々的に報じた。

 しかし、同日中にインターネット上で「(男性の証言は)虚偽ではないか」などの指摘が続出。太田市役所にも多数の問い合わせがあり、調査したところ、男性が優勝した事実はなく虚偽だということが判明した。

 これを受けて両紙は28日付朝刊で訂正記事を掲載。上毛は1面に「おわび」として「『格闘ゲーム優勝』は虚偽」との見出しで掲載する異例の対応となった。

 上毛の「おわび」記事によると、男性は同大会で優勝しておらず、渡仏もしていなかったという。また、虚偽との指摘を受けて調査をした市職員に対し、男性は「フランスには行っていません。周囲に行くと言った手前、引くに引けなくなってしまった」と説明し、情報を報道機関へ提供した市産業部長は「私の見る目がなく、だまされてしまった」と訂正を求めたという。

 市によると、25日に男性から所属する課の上司へ「フランスのゲーム大会で優勝した」と報告。翌26日、男性が「記者へ情報提供したい」と話したため、同日1時間程度の記者会見を開いたという。

 また、朝日新聞の28日付群馬県版によると、男性は市の調べに対し、職場で国内のゲーム大会で優勝したと嘘をついたことがきっかけでパリの大会に出ると嘘をつき、休暇を取得したという。

 男性がプレーした格闘ゲーム「ギルティギア」を制作するソフト会社「アークシステムワークス」(本社・横浜市)は「報道が騒ぎになっていることに驚いている。事実関係を確認しているところで、コメントはできない」としている。