「ボルダリング」人気急上昇 “歌って登れる”カラオケ店も登場

 
「グラビティリサーチなんば」のリードクライミングのためのロープエリア=大阪市中央区(門井聡撮影)

 2020(平成32)年東京五輪の追加種目の一つにスポーツクライミングが初採用され、その一種である「ボルダリング」が人気を集めている。仕事帰りのサラリーマンや子供、高齢者らにも愛好者が増え、街のボルダリングジムは大盛況だ。ボルダリング用の人工壁を施したカラオケ店も登場し、身近なスポーツとして広がりを見せている。(田村慶子)

老若男女に浸透

 ボルダリングは、岩壁を登るロッククライミングの一種だ。手や足を掛ける岩のような突起を設けた人工壁を制限時間内にロープなしでよじ登る。壁の高さは5メートル以下で、床には落下時の衝撃を防ぐためのマットを敷く。専用のシューズや滑り止め用のチョークを除けば少ない装備で済むため、気軽に始められる。

 平成23年にオープンした大阪・難波のクライミングジム「グラビティリサーチなんば」では、平日でも常に数十人が壁登りに汗を流す。20~30代の男性客が中心だが、若い女性や高齢者、親子連れの姿も見られ、客層は幅広い。

 ボルダリングやロープを使ったクライミングを10年ほど続けているという兵庫県西宮市の主婦(59)は「大好きな登山を深めようと始めた。週に1度のペースで楽しんでいる」と笑顔で話す。

 同店では、1年ほど前に1日の営業時間を2時間延長したところ、来店客数が約1・5倍に急増し、現在は年間7万人超に上るという。

 ボルダリング人気の理由について、同店スタッフの菅原麻衣子さんは「コースや手順を選ぶ判断力もいるため、体だけでなく、頭も使う。ゲーム性の高さが魅力」と話す。東京五輪の追加種目に決まってからは「将来の五輪選手を夢見てか、小学生の利用も増えている」(菅原さん)という。

カラオケ併設も

 グラビティリサーチなんばを運営するアウトドア用品店の好日山荘(神戸市)は、関西や首都圏で同様のジムを計13店舗展開。会員も今年10月時点で23万人を超え、ジムを始めた22年以来、右肩上がりを続けている。

 カラオケチェーンの東愛産業(京都市)もこのブームにあやかり、天井の高い一部の店舗ではボルダリングの人工壁を設けている。

 昨年12月にボルダリングルームを初導入した「ジャンボカラオケ広場河原町本店」(同)の壁は、高さ約3メートル、幅約7・5メートル。初級から上級までさまざまなコースで遊べる。通常のカラオケルームと料金は変わらず、グループで長時間利用する際などに「カラオケばかりだと飽きる」といった不満の解消や気分転換にも役立っている。

競技人口60万人

 日本山岳協会(東京)によると、全国のスポーツクライミング施設は過去5年間で2倍以上に増加。趣味やエクササイズの一環として親しまれており、国内のボルダリング競技人口は60万人に上る。

 ただ、競技人口が1千万人を超えるウオーキングやボウリングなどと比べるとまだまだ小さな市場だ。伸びる余地は十分と見ることができるだけに、業界関係者の期待が高まっている。