ヤフー前社長の井上雅博氏が事故死 発展の礎築く 孫正義氏の側近 

 
死去した井上雅博氏

 IT大手ヤフー創業者の一人で前社長の井上雅博(いのうえ・まさひろ)氏が26日午前6時半、交通事故のため米カリフォルニア州で死去した。60歳だった。日本のインターネット黎(れい)明(めい)期に検索サイト「ヤフージャパン」の立ち上げに携わり、社長として16期連続の増収増益を達成した。

 井上氏は東京都出身。東京理科大理学部を卒業後、ソード電算機システム(現東芝プラットフォームソリューション)などを経て、平成4年、ソフトバンク(現ソフトバンクグループ)に入社した。

 6年には社長室・秘書室長に就任。孫正義社長の右腕として、8年1月に孫氏とともに米ヤフーとの合弁で日本のヤフーを立ち上げた。

 同年7月には、孫氏の後を継いでヤフーの2代目社長に就任。国内では、「検索サイトの代名詞」と呼ばれるほどヤフーの顔として経営をけん引し、同社を日本最大のインターネット企業に育て上げた。

 ただ、井上氏のもとでヤフーは増収増益を続ける一方、スマートフォンなどモバイル端末への対応が後手に回り、孫氏は経営体制の見直しを迫られた。

 さらにヤフー経営陣の世代交代を図る観点からも、井上氏は24年6月に退任。現社長の宮坂学氏にポストを譲った。退任後はビジネスの世界から退き、日本と欧米を行き来していた。

 交通事故の詳細は不明という。葬儀・告別式は未定。後日、ヤフー主催のお別れの会を開く予定。