ISID 地域に内在する無形資本を感知せよ
生かせ!知財ビジネス□ISID・江上広行氏
地方創生へ向け、地域金融機関の融資機能復活が課題となっている。カギは知的財産と同じ「目に見えない価値」にあるという。地域金融機関向けコンサルティングを行う、電通国際情報サービス(ISID)の江上広行・VCFエバンジェリストに聞いた。
--金融庁は金融機関に対し、顧客との対話を通じて担保や保証に頼らない融資を促している
「(担保や保証の前に)金融機関は主として財務諸表などの情報を使って企業を標準化、定量化して評価し、その信用力で融資をしてきた。だが、地域に根ざす金融機関は別の観点で信用を担保できるはずだ」
--それは何か
「地域コミュニティーでの信頼関係の可視化だ。例えば町内会や取引先網の中で構築される私的関係性を理解し、そこで形成される個々の企業や人物の信用力を把握し、金融機関の信用情報として活用することだ」
--具体的には
「コミュニティー内で生まれる“おかげさま”や“お互いさま”という信頼意識のつながりを可視化し、評価することで融資判断に役立つ情報が得られる。実際、地域で信頼される経営者の企業は倒産しない。特許や技術力を保有するのと同様に、地域の信頼を得ることで目に見えない価値が形成されているからだ。その解析方法、信用情報としての実証方法を現在、研究している」
--情報収集には多大な労力がかかる
「確かに、市井へ降りてさまざまな利害関係者との対話が必要になる。関係性や交流の場作り、それらのファシリテーター役になることも必要。重要なのはこれらの労力を経営コストと考えないで、地域経済や金融機関自らの収益を支える無形の資本として理解し直すことだ」
--金融機関も一利害関係者として評価される
「金融機関の役職員に仕事で一番感動したことを問うと業績達成や昇進ではなく、顧客とのふれあいの中で感謝されたこと、との答えが最も多い。そういう仕事が今やできなくなって悩んでいるのでは。同じように地域経済貢献に限らず、環境や貧困の問題、特許活用や技術開発など、自らが解決したいと望む社会課題、分野を前面に出した経営を行う金融機関がそろそろ生まれてきてもいいと思う」(知財情報&戦略システム 中岡浩)
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【プロフィル】江上広行
えがみ・ひろゆき 1989年金沢大卒。地銀勤務を経て、2007年ISID入社。17年2月おかげさまお互いさまLLC設立。7月に「対話する銀行-現場のリーダーが描く未来の金融」(金融財政事情研究会刊)を上梓する。50歳。石川県出身。
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