将棋最年少棋士 「藤井四段の本棚」書店の特設コーナー盛況、グッズ販売も快進撃

 
新記録となる29連勝に挑む将棋の竜王戦決勝トーナメントで、対局室に入る藤井聡太四段=26日午前、東京都渋谷区の将棋会館

 将棋の公式戦最多連勝記録「28」に並んだ最年少棋士、藤井聡太四段(14)が30年ぶりの記録更新をかけ、増田康宏四段(19)と対局する竜王戦決勝トーナメント1回戦が、26日午前10時に始まった。一方、藤井四段の快進撃を受け、関連グッズの売り上げも急増。大阪の書店では読書家として知られる藤井四段が実際に読んだ本を並べた特設コーナーを設けるなど「藤井フィーバー」にわいている。

 大阪市浪速区のジュンク堂書店難波店では、約1週間前から「史上最年少棋士 藤井聡太の本棚」と題した特設コーナーを設置。藤井四段が読んだ将棋関連本を置いたところ人気は上々という。将棋の大会のために大阪に来た鳥取市の中学2年、小畑(おばた)悠太朗さん(14)は「同年代でこんなに落ち着いた将棋ができるのはすごい。藤井四段が読んだ本を読んで、もっと将棋を頑張りたい」と話した。

 同店の担当者によると、藤井四段が幼少期に使っていたという入門セット「NEWスタディ将棋」(くもん出版)も人気で、「品切れで入荷できない状態が続いている」という。

 ■将棋入門書、実用→児童書コーナーへ…売り上げ3倍に

 大阪市北区の紀伊國屋書店グランフロント大阪店では、藤井四段が注目を集め出した約1カ月前から将棋関連本の売り上げが伸び始めた。約1週間前に将棋関連のコーナーを拡張。実用書のコーナーにあった将棋の入門書を、児童書のコーナーに置いたところ、売り上げが約3倍になったという。26日には新たにコーナーを設け、藤井四段が読んだ本や、実際に使った参考書などを置く予定という。

 将棋関連本の出荷数の急増に、出版社もうれしい悲鳴を上げる。将棋などの実用書を多く出している出版社「池田書店」(東京)では、平成23年発売の「羽生善治のやさしいこども将棋入門」が今年、4回重版し計2万部近くを出荷した。担当者は「今年に入って子供向けの将棋本が突出して売れている。まさに“藤井効果”」と喜んでいた。

 新聞記者時代に将棋の世界を取材し、デビュー作「盤上のアルファ」で将棋を題材にした作家、塩田武士さんは「人工知能(AI)に棋士が敗れる時代に、中学生が全棋士を脅かしている。歴史に残る瞬間を迎えている」と、驚きをもって見つめている。