地方発知の戦略・高知県 特許より商標で産品保護

生かせ!知財ビジネス
大学から知財の“地産地消”をめざす高知大学の下方晃博・知的財産部門長

 第3の矢「成長戦略」を地方から-。各地域の企業、大学、地方公共団体などによる活性化戦略の一端を知財の視点から「地方発知の戦略」として随時リポートしていく。初回は知財戦略に取り組み始めた高知県に焦点を当てる。「高知県産業振興計画」では地域資源や技術を生かし、地産地消から地産外商へ、そして海外販路開拓へというステップを描いている。

 同県の経済と知財の現状は、製造品出荷額が2014年時点で約5200億円にとどまり、四国4県を合わせた約8兆8200億円に対して6%弱に過ぎない。上位の業界は、食品、パルプ・紙、窯業・土石だ。

 知財面では、特許出願件数(15年)が全国ワースト6位の146件。四国4県では最下位、愛媛県の約10分の1に過ぎない。件数トップは建機メーカーの技研製作所で、高知大学、ニッポン高度紙工業と続く。

 高知県発明協会の今西隆男事務局長は「特許出願は非常に少ないが、寄せられる知財相談件数は四国の他県なみ。近年は特に商標関連の相談が増えている」と話す。

 特許庁の資料によると知財総合支援窓口の総相談件数は年間1000件を超えている。“地産外商”を志向する中、地域産品を県外で販売する際に、特許よりまず商標で守らなくては、という認識が県内に広がりつつある。商標出願件数は、まだ全国ワースト3位の231件(15年)だが、今後の伸びが期待される。

 特許をめぐる状況はどうか。高知大学地域連携推進センターの下方晃博・知的財産部門長は「本学は多くの特許を持っているが、実施許諾契約実績のうち県内での実績は大学発ベンチャーを含めて1割程度しかない。もっと地域の方々に本学の研究成果を使ってほしい。それは本学の存在価値でもある」と熱く語る。

 “知財の地産地消”を実践するため、下方氏は2年前から県内各地へ赴き、共同研究テーマの掘り起こしと知財知識の啓発活動を開始。加えて大学研究成果のイメージビデオ的な動画やパネルを作成し、ウェブなどで公開している。大学の研究や知財活用を身近に感じてもらうのが狙いだ。地域事情で知財戦略もさまざまに変化する。高知県では特許の代わりに商標登録へ着眼、少ない特許は大学が積極的に提供していこうとしている。今後の動きに注目したい。(知財情報&戦略システム 中岡浩)